【番外編】緑間と音楽室�� ページ26
貴「さっき弾いてたの、ガーネットでしょ」
緑「ご存じですか」
貴「うん、好きなの」
緑「俺のクラスの合唱曲で、伴奏を頼まれたので練習していました」
簡単な曲ですが、と付け加えた緑間。
貴「すごいいい歌だよね」
緑「ピアノに合わせて歌いますか？」
貴「へ？」
緑「Aさんは歌がお上手だと聞いたので」
関口さんはAさんの歌を聴いて泣いたと言っていましたし、
なんて付け加えた。
貴「あれは関口が振られた時に慰めに歌っただけで、私の力じゃなくて関口のメンタルがボロボロだっただけっていうか…」
緑「そうなんですか」
残念、拍子抜けだ、といったような顔。
なんだそれ！
むかつく！！
貴「いや、やっぱ歌う！弾いて！」
がっかりされたままは
先輩のプライドが許さなかった。
びっくりしたような顔の緑間。
緑「え、あ、はい」
緑間の長い指が鍵盤を叩くと
綺麗な音が紡ぎ出される。
私が歌い出すと、緑間は
少し驚いたがそのまま満足げに弾き続けた。
___いつか他の誰かを 好きになったとしても
___あなたはずっと 特別で 大切で
___またこの季節が 巡ってく
伴奏が終わる。
緑「ここまで上手だとは思いませんでした」
完全に驚いた顔の緑間。
貴「へへ、ありがと」
この変人後輩が素直に人を褒めているのを
見たことがなかった私は
とっても嬉しくなってしまった。
貴「あ、そうだ」
緑「はい？」
貴「今度の遠征、絶対隠し芸大会するからそん時これしよーよ」
いつから始まったものか分からないが
帝光バスケ部には隠し芸大会なるものが
存在している。
隠し芸大会、と言っても
筋肉自慢だったり、漫才をやり始めたり
自由度はかなり高い。
私と緑間という意外性の高い組み合わせに加え
この完成度なら優勝をねらえるだろう。
緑「はぁ」
あからさまに嫌そうな顔。
貴「優勝商品は校内の自販10回無料券だよ」
緑「やりましょう」
おしるこ好きの緑間は
食い気味に返事をしてくれた。
その後、本当に遠征の隠し芸大会で披露して
またも関口を泣かせたのは言うまでもない。
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作者名：夢莉 | 作成日時：2019年8月14日 16時
