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貴「え」
なんで
急に
どういうこと?
虹「泣くなよ」
気付けば涙が溢れていた。
優しく笑う虹村。
貴「だって急にそんな、」
虹「一生会えなくなるわけじゃねえんだから、」
貴「ずっと一緒にいてくれると思ってたのに」
虹「会いたいって言ってくれたら、すぐ飛んでくから」
な、と言って私を抱きしめた。
虹村が私のことをずっと好きでいてくれる
保証なんてどこにもないのに。
なんで言い切れてしまうの。
貴「アメリカから日本に行くのに何時間かかるとおもってるの」
虹「はは、ごめん」
虹村は私の手をぎゅっと握って歩き出した。
虹村のお父さんが重い病気なこと。
アメリカに行けば望みがあること。
そして主将を降りること。
すべて話してくれた。
虹「今までごめんな」
貴「何が」
わかってるくせに、と虹村。
虹「まだまだガキだからなぁ、俺ら」
貴「そうかもね」
虹村の大きなごつごつした手に包まれて
段々落ち着いてきた。
虹「きっと俺らはなんにも変わんねぇよ」
___俺がどこにいても
___俺らは俺らだろ
名前のない関係だけど
それでもいいって思っていた
ずっとこのままだと思っていた
あぁ、こういうことだったんだ。
名前のない私たちの関係を
私は初めて恨んだ。
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作者名:夢莉 | 作成日時:2019年8月14日 16時