48episode ページ48
’
家の中から戻ってきたAの手には、何かが握られている。
｢ほら！｣
ドヤ顔のAが俺に差し出したのは、1冊の小さなノートだった
Aの指示に従って1ページ目を捲れば、そこにはでかでかと、
"ゑ？あの灰谷蘭が童貞だって！？"
という文が、丸っこいAの字で綴られていた。
｢は？なに、これ…え？｣
とりあえずツッコミどころが多いな
｢なんかね、この間ふと灰谷君がどーてーだって事を思い出してね、久しぶりに思い出したからほんと凄い衝撃でさ！また忘れないようにこれは絶対残しておかなくちゃって思って書いといたの！｣
｢え、いや、うーん……｣
俺の事を少しでも覚えててくれたのはすげぇ嬉しいけどさ、これはこれでなんかフクザツだな
しかも、
｢なんで、えだけ旧字なん？｣
｢え……？え！？これって旧字なの！？えってこの字じゃなかったっけ！？｣
｢ふはっ、なんで逆に旧字の方覚えてんだよ｣
ゑなんて滅多に使うことないのに。つか俺も久しぶりに見たぞこの字。
｢やだなぁ…ついに字も忘れちゃうなんて｣
｢ま、旧字とか俺はひとつも覚えてねぇけどな｣
だから大丈夫。なんて、軽々しくは言えないけど
でも、絶対支えるとは言いきれるから。
字を忘れて文字が書けなくなったとしても、俺が隣にいればいい。
俺ってAの考えてること案外結構分かるからよ、どうにかしてAと意思疎通出来るだろ。
｢ふふ、励ましてくれてるの？｣
｢まーな。俺やさしーから｣
｢知ってるよ｣
｢え｣
Aの思わぬ返答に、俺はつい固まってしまう。
今までは、どーだか。としか返されなかったのが、初めて違う言葉が返ってきた。
しかも、
｢とっくに知ってるよ。灰谷君が優しいことなんて｣
そんな、俺を惑わすような、嫌味のないけれど危なっかしい笑顔。
俺の心を再び躍らせるには、十分すぎるくらいに温かい笑顔
もはや少しの恐怖さえ感じる
この笑顔を守るためなら俺はきっと、自分の全てさえも犠牲にしてしまいそうだ
今更分かったような事じゃないのに、たった今初めて気づいたような気持ちになった
俺って相当、Aに惚れ込んでんな。と。
＊＊＊＊＊＊＊＊
タイトル回収……になったのでしょうか……笑
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華恋(プロフ) - こんな素晴らしい作品を今まで見逃していた自分に嫌気が指す…タイトルの雰囲気からは想像できない感動が衝撃すぎて…まさに衝撃の事実…感動しすぎて語彙力失いました……どうしてくれるの作者様。() (8月14日 9時) (
レス) @page49 id: 92a816f288 (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - めちゃくちゃ心に刺さる･･･！つらい･･･！ (2022年2月9日 14時) (レス) @page48 id: cf6ad1b61e (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - 待って、マジで泣きそう･･･！！ (2022年2月9日 13時) (レス) @page39 id: cf6ad1b61e (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - マジで幸せになってくれ･･･！！ (2022年2月9日 12時) (レス) @page33 id: cf6ad1b61e (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - まさか一虎のお姉ちゃんだなんて･･･泣きそうになりました･･･！ (2022年2月9日 12時) (レス) @page28 id: cf6ad1b61e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ
| 作成日時：2021年12月25日 21時
