37episode ページ37
’
Aよりも先に起きてしまった俺は、二度寝しようかと迷ったが何となく目が冴えてしまったので、とりあえず部屋の灯りを消した
ついでにはだけた毛布もかけ直して。
薄暗くなった部屋の中で、Aの静かな寝息だけが響きわたる。
子供のようにあどけない顔で眠るAを見て、俺はとある事に気がついた。
そういえば俺って、Aの寝顔見たこと無かったなと。
いつも授業中はおろか、行為後も俺の方が長く寝ている為、必然的にAの寝顔を見ることはなかったけど
こうして見てみるとやっぱり、こいつ可愛いななんて思ったり。
｢…………ん……起きてたの？｣
俺がAの寝顔をガン見していた事に気がついたのか、Aは布団を引っ張り赤くなった顔を隠す
今更おせぇだろとも思ったが、その一挙一動ですら可愛いのだから全く本当に困る
｢やだ、起こしてよ｣
寝起きだからか、いつもより声がふにゃふにゃしていた。
｢すげー気持ち良さそうに寝てたぜ｣
｢……その言葉、全く同じで返してあげる｣
｢へーへー｣
別にいいだろ寝顔見られるくらい。
俺なんて毎日お前に見られてたんだしな。
｢ん、寒い……｣
｢暖房つけるか？つか服着る？｣
｢んーん。灰谷君にくっ付いてるからへーき｣
｢え｣
むぎゅ、と腕の下辺りに抱きついてくるA
寝顔は気にするくせに、当たってることは気にしないのだろうか。
……あぁくそ、なんなんだよもう
これじゃあ手ぇ出すなって方がおかしいのに……
我慢してる俺、偉すぎだろ。
｢……あ、今日ご飯ないの忘れてた｣
｢なんで｣
｢お母さん実家帰るから｣
｢じゃあなんか頼むか｣
｢やった〜
私ね、ピザがいいな｣
｢ん｣
むくりとベッドから起き上がり、Aに出前のチラシの在処を聞けば、なんと部屋の机の引き出しにあるという。
なんつー場所に入れてんだよと指摘すれば、何しろ母親が厳しい人で、中々出前を頼ませて貰えなかったから隠していたらしい。
電話を掛けて適当に3枚ほど頼んでおけば、Aが風呂から出る頃には届いているという完璧な手配。
｢あれ、なんでピザ？うどんにするんじゃなかったっけ？｣
｢え？………あー、悪ぃ、ピザ嫌だった？｣
｢ううん！ピザも好きだから嬉しい！｣
心臓が嫌な風に高鳴るのを、俺は見ないことにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1619人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華恋(プロフ) - こんな素晴らしい作品を今まで見逃していた自分に嫌気が指す…タイトルの雰囲気からは想像できない感動が衝撃すぎて…まさに衝撃の事実…感動しすぎて語彙力失いました……どうしてくれるの作者様。() (8月14日 9時) (
レス) @page49 id: 92a816f288 (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - めちゃくちゃ心に刺さる･･･！つらい･･･！ (2022年2月9日 14時) (レス) @page48 id: cf6ad1b61e (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - 待って、マジで泣きそう･･･！！ (2022年2月9日 13時) (レス) @page39 id: cf6ad1b61e (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - マジで幸せになってくれ･･･！！ (2022年2月9日 12時) (レス) @page33 id: cf6ad1b61e (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - まさか一虎のお姉ちゃんだなんて･･･泣きそうになりました･･･！ (2022年2月9日 12時) (レス) @page28 id: cf6ad1b61e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ツナ
| 作成日時：2021年12月25日 21時
