黄金の雨は知っている

〜恋より大切なもの〜 ページ8

私達は，フェンスの出入口から出て，自転車に乗って


正門の近くまで行った


するとそこにはまだ女の子が3人いたんだ

若武を見ていた子達は，上杉君と黒木君が連れ出した

筈だがら，これはひょっとして，

翼の出待ち????


私達は少し離れたところに自転車を止めて，様子を

見ていた

やがて翼が正門から姿を見せる

1人だった



『美門って綺麗好きなんだ，以外』


そうAちゃんが驚いている

私達の前で，翼はフェンスのそばに停めてあった

銀色の自転車に歩み寄り，肩から

かけていたKZバッグを 前カゴに放り込んだ

その時，女の子達の中の1人が

おずおずと近づいていったんだ

｢あのこれ，読んで貰えますか？｣

両手で手紙を差し出す

まるで自分の命を差し出しているみたいだった

きっと本人はそのくらいの気持ちなのに

違いない


その迫力に，私は圧倒されてしまい

ただ見つめるばかりだった


『すごい勇気だねぇ……』


それは，好きな男の子を遠くから見てキャアキャア

言っているのとは全然，重みの違うことだった


翼｢何，書いてあるの?｣


翼が微笑んで聞くと，女の子は，

ほんのり赤くなって目を伏せた


｢付き合って欲しくて｣

〜恋より大切なもの〜→←〜目を疑う光景〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す