検索窓
今日:4 hit、昨日:16 hit、合計:160,709 hit

第二十二話 ページ24

『むいくん、お願いがあるんだけど』

あれから数日が経ったある日。私は縁側に座るむいくんの横で正座をしていた。

『蝶屋敷に行かせて欲しいです』

むいくんは黙ったまま前を向いている。

『炭治郎と禰豆子ちゃんに会いたいの。あの時の事、謝りたいし』

「……何でアンタが謝るの」

『それは…だって、禰豆子ちゃんに辛い思いさせちゃったし…』

一向にこちらを向かないむいくんに焦れったくなる。が、私はただひたすらお願いするしかない。

『炭治郎、怒ってるかもしれないし。お願い!行かせて!』

頭を勢いよく下げて返事を待つ。すると、頭上から大きな溜め息を吐く音が聞こえた。

「好きにすれば」

『…!!…ありがとう!』

やっぱりむいくんは、何だかんだで優しいのだ。そうと決まれば準備でもしようかと立ち上がった時、クイっと引っ張られた。見ればむいくんが、私の着物の袖を掴んでいる。

『むいくん…?』

「…あの…鬼を連れた隊士と知り合いなの?」

『…炭治郎の事…?』

そう尋ねれば、むいくんは眉根を寄せる。…え、何?

『ううん、知り合い…ではないかな』

「…じゃあその呼び方は何?」

…呼び方とは…?

数秒考えてハッとする。そうだ、一応この前が初対面なのに、普通に呼び捨てで呼んでいた。

馬鹿か私は…!いや馬鹿だけど!成績なんて下から数えた方が速いもんね!

『あ〜…いや、何となく…?』

「はぁ?」

ごめんなさい、適当な返事なのは分かってます。だからそんな目で見ないで、むいくん。

「…僕は呼び捨てにしない癖に」

『え!?だって…それは…』

どうしたものかと考えていると、ふと気付く。何か…これって…

『嫉妬してるみたい…』

私の言葉にむいくんは肩を少し揺らし、決まりが悪そうに目を泳がせた。え…何、その反応…。

『嫉妬…したの…?』

私はもう一度、彼に尋ねた。

第二十三話→←第二十一話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (109 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
167人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

uru(プロフ) - 愛NAさん» ありがとうございます!自分ではまだまだと思っているのですが、そう言って下さり嬉しいです!!これからも頑張ります! (2020年8月18日 19時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
愛NA(プロフ) - 小説の書き方上手過ぎませんか…??ちょっとシリアスだったり面白かったり、何かもう色々と凄って思いました。陰ながら応援させて頂きますね…! (2020年8月18日 18時) (レス) id: d66500f3cb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:憂流 | 作成日時:2020年8月2日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。