第二十二話 ページ24
『むいくん、お願いがあるんだけど』
あれから数日が経ったある日。私は縁側に座るむいくんの横で正座をしていた。
『蝶屋敷に行かせて欲しいです』
むいくんは黙ったまま前を向いている。
『炭治郎と禰豆子ちゃんに会いたいの。あの時の事、謝りたいし』
「……何でアンタが謝るの」
『それは…だって、禰豆子ちゃんに辛い思いさせちゃったし…』
一向にこちらを向かないむいくんに焦れったくなる。が、私はただひたすらお願いするしかない。
『炭治郎、怒ってるかもしれないし。お願い!行かせて!』
頭を勢いよく下げて返事を待つ。すると、頭上から大きな溜め息を吐く音が聞こえた。
「好きにすれば」
『…!!…ありがとう!』
やっぱりむいくんは、何だかんだで優しいのだ。そうと決まれば準備でもしようかと立ち上がった時、クイっと引っ張られた。見ればむいくんが、私の着物の袖を掴んでいる。
『むいくん…?』
「…あの…鬼を連れた隊士と知り合いなの?」
『…炭治郎の事…?』
そう尋ねれば、むいくんは眉根を寄せる。…え、何?
『ううん、知り合い…ではないかな』
「…じゃあその呼び方は何?」
…呼び方とは…?
数秒考えてハッとする。そうだ、一応この前が初対面なのに、普通に呼び捨てで呼んでいた。
馬鹿か私は…!いや馬鹿だけど!成績なんて下から数えた方が速いもんね!
『あ〜…いや、何となく…?』
「はぁ?」
ごめんなさい、適当な返事なのは分かってます。だからそんな目で見ないで、むいくん。
「…僕は呼び捨てにしない癖に」
『え!?だって…それは…』
どうしたものかと考えていると、ふと気付く。何か…これって…
『嫉妬してるみたい…』
私の言葉にむいくんは肩を少し揺らし、決まりが悪そうに目を泳がせた。え…何、その反応…。
『嫉妬…したの…?』
私はもう一度、彼に尋ねた。
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uru(プロフ) - 愛NAさん» ありがとうございます!自分ではまだまだと思っているのですが、そう言って下さり嬉しいです!!これからも頑張ります! (2020年8月18日 19時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
愛NA(プロフ) - 小説の書き方上手過ぎませんか…??ちょっとシリアスだったり面白かったり、何かもう色々と凄って思いました。陰ながら応援させて頂きますね…! (2020年8月18日 18時) (レス) id: d66500f3cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:憂流 | 作成日時:2020年8月2日 15時