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第5話 ペンギン何処へ ページ7

ペンギンの提案から発展した試合は、白熱していた。キーパーは円堂と西蔭がそれぞれ行い、控えにいる数名を除いてチームを作り実戦形式の特訓として開始した。
試合で組まれたチームのせいでもあるだろうが、相当白熱し、もはや本当の試合なのではないかというほどだった。怪我をしない程度にという冷静さを持ちながらも技を出しボールをカットし、もしくはカットされないようにパスを回す。



「面白い?」

『キュ!』

「よかった」

「ペンギンって何食べるのかしら」



マネージャーの管理のもとペンギンは試合を観戦している。実におとなしく撫でても抱き上げても声ひとつあげずにただ試合を輝かしい瞳で見つめていた。



「ペンギンさん……?どうしたの?」



やがて、ペンギンはベンチからそっと降り、フィールドへわずかに近づいた。
すると、魂が抜け出るかのようにふらりと倒れやがて技の消滅同様に姿を消した。マネージャーが驚きの声を小さく出すのと、その現象はほぼ同時だった。



『円堂、こっちだ!』



そう言いながらボールを求めたのはヒロトだった。円堂は違和感を覚えながらもヒロトにボールを投げる。楽々とそのボールをとって見せると、前を走っていたタツヤへとボールを蹴った。ボールを受け取った直後、タツヤの動きがやや鈍り、やがて目が覚めたように走り出した。



そうして的確なパスが繰り返されボールは再度、ヒロトに返される。絶好のシュートチャンスだったが、ヒロトは頭を振って何度も瞬きを繰り返すばかりでシュートに入ろうとはしない。



「ヒロトー!シュートだ!!」

「ぁ……お、おう!」



後方からの円堂の指示でようやくシュート体勢に入ったが、それは隙をついた野坂によってカットされた。舌打ちもつかの間、野坂がボールをキープし上がっていく。



『野坂、ボールくれよ』



野坂がやや驚いたように口を開けたが、隣の灰崎への正確なパスを通した。すると灰崎はシュートに向かうのではなく明日人へとパスを回し、自分はやや後方へと下がり反撃に備えるように対応した。



「……おかしい」



野坂は思わず呟き、考えるように足を止めた。

第6話 野坂の疑問→←第4話 謎のペンギンと親



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作者名:匿名の人。 | 作成日時:2019年12月6日 19時

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