第4話 謎のペンギンと親 ページ6
懸命にベンチを登り、滑り落ちそうなところを支えてもらいながらペンギンがとある物を両手で掴んだ。それを器用に動かしながら何かを作り上げていく。
「こいつ」
「絵……描いてやがる」
「はぁ!?んだよそれ、聞いたことねぇ」
皆がそれを覗き込むと、ペンギンが見せるように場所を移動した。小さなホワイトボードに描かれているよれよれの線のようなものは、灰崎曰くなにかの絵であるらしかった。
「円堂のノートを思い出すな」
「何描いたんだこれ、わかんねぇ」
「解読しろ、親」
「親じゃねぇ!」
灰崎がヒロトに声を荒げながらも、ボードをじっと見つめた。
何かの線が、黒と白の歪なものの隣に描かれている。
「………これ、人間か?……んで、こっちがボール?お前、これサッカーのことか?」
ペンギンが頷き、声を上げると、周りからは感嘆の声が上がった。ペンギンはそのボードを指し、灰崎たちを指した。
「……サッカーやれって?」
『キュ!』
「よしわかった。サッカーやるから帰れ」
灰崎が地面にペンギンを押し込もうとするのを円堂たちが慌てて抑える。流石にそれはかわいそうだという声に灰崎はご立腹のようだ。
変わって円堂がペンギンを見た。
既視感のある黄緑の瞳が印象的なペンギンは同じような動作を見せた。
「お前、サッカー好きか?」
『キュ!』
「よし!じゃあ、俺たちのサッカー見ててくれよな」
ペンギンが嬉しそうに鳴く。
というわけだ、と円堂が向き直るとメンバーは驚きだったり困惑だったりで声をあげた。
その中で円堂だけがとても楽しそうに笑っていた。
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作者名:匿名の人。 | 作成日時:2019年12月6日 19時