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・〜柊side〜 ページ5






うん、良い顔だ


これで少しでも茅野の心が軽くなったのなら、それで良い




自分の顔が少しばかり緩んでいるのが分かる


そんな時に、ふと辺りを見渡した





「A…?」





良い意味で崩れた顔をするこいつらの中に


Aの姿がなかった






何故か急激に不安になって立ち上がると、周りに居た奴らが少しうるさいくらい心配してくる



立ち上がってみると、見える景色がこうも変わる






Aは少し離れた場所に1人で立っていて、意外と直ぐに目が合う




強い光を見たように目を細めて、少しだけ苦しげな表情を浮かべていた


なのに小さく口角上げていて

それでもその口元は引き攣っていて



それが自身で分かったのか、視線を落とした





「…A」





名前を呼べば、少し体を強張らせてから、こちらに向かって来る


俺も足を運ぶと、目の前に立つのはあっという間だった





言いたい事は、もう頭の中にある




けど、それより先に口を開いたのは、珍しくAの方だった





『すみません…今、何でか変で……ゆとりが無いんです』



「…そっか。

俺の話、聞ける?」



『…はい』





少し困ったように笑ったAは、言われてみれば確かに余裕がなさそうだった



だからと言うのもあれだけど、Aの手を取って握る






落ち着けるように



ちゃんと伝わるように





「なぁ、A。

お前は本当に、景山を殺したのか?

無理矢理、茅野の手を引き離したのか?」



『……』



「少なくとも俺は、そうだとは到底思えない」





俺が飛び降りて、茅野とAが手を掴んでいた時


今までのこいつからは考えられないくらいの力で掴まれていた





そしてこいつは何も言わずに、黙って涙をただただ流していた


まるでそれに気付いてないみたいに…





決して手を緩めず、助けようと必死の茅野に何も言わず、何もせず



俺の事を落とすまいと言うように掴んでいた





そんなこいつが、茅野や景山に対してそんな事するわけない





『どう、でしょうね…』



「…なぁ茅野。
こいつは本当にお前の手を引き離したのか?」





茅野に目を向ければ、茅野は首が取れるんじゃないかってくらい横に振った





「違います、Aちゃんはあのとき、先生のときみたいにずっと手を掴んでましたっ

だから、私の手を引き離すなんてことはあり得ませんっ…!」





こいつもこいつで、茅野の心を守るのに必死だったんだ






・〜柊side〜→←・



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おひな(プロフ) - 感動しました。ありがとうございました。 (1月9日 23時) (レス) @page44 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
玲生(プロフ) - 私こんな綺麗に泣いたことないかもってぐらいすーって涙ながれた (8月14日 22時) (レス) @page44 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
ケロッピ(プロフ) - ありがとうございました (8月6日 1時) (レス) id: fb652d6333 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 柊先生の生存ルートも書いてほしいです (2021年3月19日 16時) (レス) id: b4ba18a803 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - え、え?最終更新日が…?また更新されるのですか?期待しても良いのでしょうか?笑 (2021年1月18日 23時) (レス) id: 76abfc2842 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年5月14日 23時

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