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・〜柊side〜 ページ26






今まで塞いでいた何かが外れて、ボロボロと溢れ出ているように見えた



気付いたら俺の手から、両手が抜けていて


その手は、徐々に目を覆う





『何で、普通になれないの?
どうして、普通じゃなきゃ生きてけないの…』





まるで独り言のように、何で?どうして?と次々に漏らす



でもそれは、自分に言い聞かせているみたいで



敬語が外れて、徐々に声が弱々しくなっていた







口から出てくる1つ1つが、重い




重いのに、やけに鋭く刺してくる







…これを抱えるのは、苦しい








ずっと止まらない、その疑問



聞きたいって言ったのは自分なのに、


それは想像を遥かに超えるものだった









でも、ふと気付く




何だか、怖がっている…?







自分でも、歯止めが効かなくなっているみたいな雰囲気を何となく感じた







…もし、それが本当だとして



止めたいのに、口が勝手に動いていたとしたら






どれだけ、怖い事だろうか





『何で産んだの?

何で殺さなかったの?


…どうして、私は生まれたの……』





弱々しかった声は少しずつ震え出していた








最初は本当に素朴な疑問のような切り出し方だった



それは次第に深いものに変わって





今までずっと抱えていたような疑問に変わって









世の中を疑問に思って



一般を疑って



世間体を疑って








自分を卑下して




自分に嘆くように問い








自分の存在を、疑問と感じた…






自分自身で首を絞めて、見えないナイフで何度も刺し、重い鈍器で殴る






それのトリガーになっているのは、こいつの幼少期にあって



その主格はきっと、両親だ






学校に居た時に、言っていた事を思い出す



恩愛が欲しかった、と

絶えず貰える筈の無償の愛が欲しかった、と…






徐々に細くなる体も

日に日に濃くなる隈も



酷く、痛々しい






それらの原因は、元を辿れば全てそこに繋がるのかもしれない





それでも耐えて、堪えて、必死に蓋をして



それが不意に取れた途端、止まらなくて、怖がって、怯えて…








弱っているこいつは、今にも潰れてしまいそうだ






…この状況や、世の中は



こいつにとって、俺じゃ想像も出来ないくらい辛いものなのかもしれない





『何でもっと、上手く生きれないんだろう…』





それはもう







.







窒息寸前じゃ、済まないくらい






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おひな(プロフ) - 感動しました。ありがとうございました。 (1月9日 23時) (レス) @page44 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
玲生(プロフ) - 私こんな綺麗に泣いたことないかもってぐらいすーって涙ながれた (8月14日 22時) (レス) @page44 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
ケロッピ(プロフ) - ありがとうございました (8月6日 1時) (レス) id: fb652d6333 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 柊先生の生存ルートも書いてほしいです (2021年3月19日 16時) (レス) id: b4ba18a803 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - え、え?最終更新日が…?また更新されるのですか?期待しても良いのでしょうか?笑 (2021年1月18日 23時) (レス) id: 76abfc2842 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年5月14日 23時

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