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口が止まらない


止め方が、分からないみたいだった





何処で止めればいいのか


いつまで喋ればいいのか分からない



区切れ目が、自分では判断出来なくて





気持ち悪い、ドロドロとした何かがそこから込み上げて来る






どうにかして喋る口を止めなきゃいけない



先生だって、こんなの聞いてても良い思いはしないだろうし困らせる


次々に吐き出したところで何にもならない





ただただ時間が過ぎていって


いたずらに先生の時間を使うなんて




そんな愚行が許される筈が無い





頭では、ちゃんとそういう思考が出来ている


でも、ちゃんとそれが伝達されてなくて




口は止まらず



自分の中で







深く、深く…



沼に沈むような感覚に陥る





『….なのに、何で、』



「A」



『、…』





あ、怒られる





降ってくるのは何だ




手か、言葉か…


はたまた、違う何か…





思わず体が硬直した


動いたら何されるか分からないから、せめてギュッと目を瞑る





『っ、……?』





あれ、何も来ない



身構えていたのに、何の衝撃も無くて困惑していると




脇の下に手が入ってきて


体がふわっと浮いた





「お前、軽いなぁ。

俺が持ち上げて軽いって言うなら、相当だぞ?」



『えっ、…え?』





気付いたら、ベッドの上に乗っていた


しかも先生の足の間に座っていて



後ろから抱き締められるように、お腹の前で腕を組まれる


そして先生がそのままベッドに凭れ掛かるものだから

必然と私の体も後ろに傾いて、先生に体重を預けるような体制になった





「俺ね、学生の頃とか体育好きだったんだよ。

ヒーローとか小さい頃から憧れててな?今でもそうなんだけど…
だから、スーツアクターになって、ヒーローじゃなくてもあの場に立てて嬉しかった。

あー、あと数学は割と得意だったなぁ…
あ、もちろん美術の評定点は最高得点だった」





ゆりかごのように体をゆっくりと揺らして、耳元だからか、穏やかで静かな声で喋っていた


優しく揺れる体や、その声が耳に入ってきて



今まで込み上げて来ていたドロドロとした何かはスーッと消えていく





「落ち着いた、か?」





私の肩に頭を乗せて、顔を覗き込むように近くで聞いて来た




あ、本当だ、落ち着いてる



頭がクリアになっていた






・→←・〜柊side〜



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おひな(プロフ) - 感動しました。ありがとうございました。 (1月9日 23時) (レス) @page44 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
玲生(プロフ) - 私こんな綺麗に泣いたことないかもってぐらいすーって涙ながれた (8月14日 22時) (レス) @page44 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
ケロッピ(プロフ) - ありがとうございました (8月6日 1時) (レス) id: fb652d6333 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 柊先生の生存ルートも書いてほしいです (2021年3月19日 16時) (レス) id: b4ba18a803 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - え、え?最終更新日が…?また更新されるのですか?期待しても良いのでしょうか?笑 (2021年1月18日 23時) (レス) id: 76abfc2842 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年5月14日 23時

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