No.57*龍神邪炎 ページ27
「あくた、がわ……?」
「…………そのようなことも分からぬ貴様が、葵達を知ったような口を聞くな」
中島は、一人、驚きを隠せなかった
“あの”芥川が、葵や華恋のことを思い、クロを正していることに
そして、彼の灰色の目が、まるで誰かを愛おしむようになっていることに
「……じゃあ、僕はどうすればいいんだよッ!
もう、ツチもサキもホシも……!
三人もやられて!!
大切な人がどんどん減っていく!!
ロフとルアも!あの時僕等を見捨てた!!
でも、戻って欲しかったから……ッ
僕は…………ッ!!」
クロは、悲痛の叫びをあげ、泣き崩れる
それを見た中島は、何かを言おうとしたが、その時、凛とした声が倉庫に響いた
「おいおい、随分派手にやってくれたじゃないか
これは治療のしがいがあるってもんだねェ」
「与謝野先生!?」
そう、武装探偵社社員___与謝野晶子が現れたのである
「敦、芥川 アンタ等の仕事はこれで終わりだよ」
「え、」
「何?」
与謝野の言葉に、二人は驚愕する
だが、彼女は淡々と述べていった
「これ以上アンタ等がコレに関わればこの作戦は失敗する
何たってうちの誇れる
それに、アンタ等がもし、妾の話を聞かず応援に行った最悪の場合」
あの子達が死ぬンだよ
「そん、な……」
それを聞いた瞬間、彼等は絶望した
愛する二人を、自分達は指をくわえて待っていなければならないのか
助けに行くことは出来ないのか、と
「……そんなこと関係ないッ!僕は葵達を!葵を助けに──」
「ダメだって言ったのが聞こえなかったのかい この馬鹿野郎」
「なッ」
与謝野の厳しい声に、芥川は動きを止める
「はぁ…… アンタが葵が好きだってことくらい、妾にだってわかるし、助けたいって思うのもわかる
でもねェ、それで葵が、華恋が死んだ時、アンタは責任を取れるってのかい?」
「………ッ!」
その言葉は、二人の心に、大きく、重くのしかかってきた
『人間にとって【死】とは絶対的なモノ』
これを覆すことは、神でも出来るか分からないことであり、人間にとっては不可能なこと
そんなモノを、彼等に責任が取れるだろうか
44人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:龍神邪炎&チョコレート x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2017年12月19日 14時