弐拾陸頁─不満ト憤リ─ ページ33
「ッたく、なんで俺がこんなぬいぐるみと...」
ぶつぶつと愚痴をこぼしながら足を進める中也。
その後ろをフルールがちょこちょこと小走りでついて行っていた。
二人の距離はそこまで離れていないものの、身長差が1m以上あるので中也の愚痴がフルールの耳に届くことはない。
...ということはなかった。
「そういうの全部聞こえちゃうんだよ、ボク。あ、
「チッ、地獄耳かよ手前」
「よく云われるヨ。ま、ボクのことを知ってるのなんてAと鈴奈と此処の首領、それと君達くらいだケド」
中也の隣に追いつき、フルールは足を速めて先頭に出る。
それから足を軸にくるっと躰を一回転させ、周囲を見渡して何やら納得のいったように頷いた。
「此処まで来れば大丈夫カナ。んじゃ、やろうカ」
いつでもかかってきておいで、と指の無い手で器用に手招きをする。
異能生命体の殆どは何かしらの特殊能力を所持している。
油断は禁物。
そう頭では判っていても、中也は今すぐにでも地を蹴り飛び出したい衝動に強く駆られた。
「手加減は要らねぇンだよなァ?」
「勿論!でも異能は使っちゃダ────」
言葉を遮る瞬発力。
銃口から放たれた弾のような速さでフルールへと迫っていく中也。
それを見てフルールは大きく感嘆の声をあげた。
しかしそれに反して浮かべられるのは焦りの無い余裕な表情。
尤も、ぬいぐるみの表情変化など当てにならないが。
刹那、フルールは横に飛んで軽々と鋭い蹴りを避けた。
中也はバランスを崩すことなく数十m先に着地し、無駄な動き一つ無く続けざまに地を蹴り追撃に入る。
留まることの無い猛攻。
だがそれら全てをフルールは掠ることなく避けていた。
「ネェ、なんでそんなに怒ってるノ?ボク、何か悪いことでもしたのカナ?」
軽やかなステップを踏みながらフルールが首を傾げつつ尋ねる。
しかし彼は無言で攻撃を続けていた。
「ンー......」
フルールは小さく悩みの声をもらす。
そしてこのままでは埒が明かないと判断したのか、フルールは彼の武器が足から拳へと変わる瞬間を見計らい、速さの乗った重い打撃をその小さな躰で受け止めた。
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煉華☆(プロフ) - ラズベリーさん» 返信遅れてしまいすみませんでした!先ほど承認を出させていただきました。双黒良いですよね、私も最推しです(*^^*) 最終更新からかなり日が空いてしまいましたが、今日から再開予定ですのでまた読んでいただけると幸いです。コメントありがとうございました! (2019年9月27日 8時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 燐華さん» 返信遅れてしまい申し訳ありません。わざわざ申請してもらったのにこう言うのはなんなのですが、文章をしっかりと読んだ上での申請をお願いしております。フレンド数の上限の関係でこうなってしまって本当にすみません!拒否はしてませんので良ければお待ちしております (2019年9月27日 7時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
ラズベリー(プロフ) - フレンド申請させていただきました。〈ラズベリー〉です!推しは旧双黒の2人です!このお話凄く面白いのでこれからも更新頑張って下さい! (2019年9月18日 16時) (レス) id: 56fb91a534 (このIDを非表示/違反報告)
燐華(プロフ) - フレンド申請させていただきました。ユーザー名は彼岸花です。 (2019年9月18日 9時) (レス) id: 7838562921 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - サナさん» いただければ幸いです。 (2019年7月5日 15時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉華 | 作成日時:2016年12月19日 15時