拾捌頁─黒ニ交ワレバ 11─ ページ24
「ははッ!どうだ、俺らの勝ちだろ!」
僅かに揺れる視界の中、仰向き状態の私に勝ち誇った様子の勝利宣告が浴びせられた。
しかしそんな声よりも意識は熱を帯びて痛む腕に集中する。
拳を当てられたのは手首から肘までの丁度真ん中あたり。
衝撃の間際に衝撃吸収用の葉を幾層にも重ねて防御した筈なのだが、それを遥かに上回る強さでねじ伏せられた。
彼は女でも容赦はしないと話していたが、今回の制限もあってか恐らく打ちつける瞬間に異能は使われていない。
その代わりにそれまで軽くしていた体重を元に戻して威力を増すという使い方はされたと思われる。
あーあ、これ完全に折れてるな。
「...いや、これは引き分けだ。この場から少しでも動けば僕らは致命傷を負いかねない」
少し離れた処から聞こえたその声に、私は腕から全身に広がっていく痛みの中で笑みを浮かべた。
太宰が顔を上に向ける。
そこにあったものは
それが幾つか天井にぶら下がっており、静かに彼等の脳天を狙っていた。
床には枯れて茶色に変色した細い蔓が自身の立つ周囲に数本横たわっている。
彼のようによく観察していれば気づくことが出来るのだが、普段は目につくような太さでもこの短時間で見てきた巨大な葉や花の印象が強く頭に残っている状態での気付きは中々に難しい。
しかしそれを彼は見破った。
その上で仲間に警告を入れ、勝ちが確定したように見える状況下でも最後まで注意を払い警戒を怠らなかった。
......成程ね。
『ふふふ、君たち結構面白いね。想像以上、気に入ったよ』
「ん?何か云ったか?」
『いや、何でもない。今のは忘れて』
そう返しながら私は追撃は来ないと判断し、腕をかばいつつ立ち上がる。
不思議と鼓動は落ち着いていた。
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煉華☆(プロフ) - ラズベリーさん» 返信遅れてしまいすみませんでした!先ほど承認を出させていただきました。双黒良いですよね、私も最推しです(*^^*) 最終更新からかなり日が空いてしまいましたが、今日から再開予定ですのでまた読んでいただけると幸いです。コメントありがとうございました! (2019年9月27日 8時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 燐華さん» 返信遅れてしまい申し訳ありません。わざわざ申請してもらったのにこう言うのはなんなのですが、文章をしっかりと読んだ上での申請をお願いしております。フレンド数の上限の関係でこうなってしまって本当にすみません!拒否はしてませんので良ければお待ちしております (2019年9月27日 7時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
ラズベリー(プロフ) - フレンド申請させていただきました。〈ラズベリー〉です!推しは旧双黒の2人です!このお話凄く面白いのでこれからも更新頑張って下さい! (2019年9月18日 16時) (レス) id: 56fb91a534 (このIDを非表示/違反報告)
燐華(プロフ) - フレンド申請させていただきました。ユーザー名は彼岸花です。 (2019年9月18日 9時) (レス) id: 7838562921 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - サナさん» いただければ幸いです。 (2019年7月5日 15時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉華 | 作成日時:2016年12月19日 15時