玖頁─黒ニ交ワレバ 2─ ページ14
「...誰だ、手前」
それが部屋に入って初めてかけられた言葉だった。
部屋には首領に云われていた通り、自分より少し年上に見える少年二人が居た。
一人は壁にもたれかかり、もう一人は小さな丸椅子に座ってゲーム機を弄っている。
此方を睨むようにして目線を向ける黒帽子を被った少年。
それに対し、あまり興味が無さそうに一瞥するだけの体中包帯だらけの少年。
先程言葉を発したのは前者の帽子を被った彼のようだった。
「悪いが此処は取り込み中だ。空いてる部屋を探してンなら
『いや、別に空いてる部屋を探してたわけじゃない。もとより私の目的地は此処だから』
判りきっていたそれに私は感情を揺さぶられることなく平坦と返す。
彼等は......少し様子見だな。
「...真逆とは思うが、手前が首領の云ってた俺等の教育係って奴か?」
『そうだって云ったら君はどうするの。笑って莫迦にする?』
後ろ手で扉を閉め、帽子を被った少年の目を見る。
そこには変な濁りの色は見えず、不思議と透き通った青があった。
彼は私の質問には答えずに腕を組んで顔を逸す。
答える気は無いと云った様子だったが、その態度から彼の気持ちが何となく察せた。
それよりも首領は彼等に私について最低限しか伝えていなかったらしい。
前回のことを思うのなら少しは配慮してほしいものだ。
「声を聞いて思い出したんだけど、もしかして昨日森さんと話してた人?服はともかく、髪の色も昨日見た時と違うんだけど」
続いて口を開いたのは頭と手首に包帯を巻いた少年。
私はその眼に一瞬息が止まった。
それは彼の幼い見た目からは想像がつかないほどに暗くくすんでいた。
まるでこの黒社会をそのまま映したような、そんな色だった。
しかしそれでもまだ明るい。
私達とは違う。まだ彼等は本当の闇を知らないのだ。
『...昨日の君か。悪いけどそれについては答えられない』
「ふーん。それじゃあ仕方ないね」
包帯の少年はつまらなさそうにゲーム機に視線を戻す。
返事に少し間が空いたのは、別に彼に同情したからという訳では無い。
ただ、昨日のことが上手く思い出せなかった。
首領の部屋に行った記憶もそこで何を話したのかも鮮明に覚えているのだが、部屋を出てから自室に戻るまでの記憶が不透明にしか頭に浮かばない。
......まぁ、その理由は判りきっているが。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
517人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
煉華☆(プロフ) - ラズベリーさん» 返信遅れてしまいすみませんでした!先ほど承認を出させていただきました。双黒良いですよね、私も最推しです(*^^*) 最終更新からかなり日が空いてしまいましたが、今日から再開予定ですのでまた読んでいただけると幸いです。コメントありがとうございました! (2019年9月27日 8時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 燐華さん» 返信遅れてしまい申し訳ありません。わざわざ申請してもらったのにこう言うのはなんなのですが、文章をしっかりと読んだ上での申請をお願いしております。フレンド数の上限の関係でこうなってしまって本当にすみません!拒否はしてませんので良ければお待ちしております (2019年9月27日 7時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
ラズベリー(プロフ) - フレンド申請させていただきました。〈ラズベリー〉です!推しは旧双黒の2人です!このお話凄く面白いのでこれからも更新頑張って下さい! (2019年9月18日 16時) (レス) id: 56fb91a534 (このIDを非表示/違反報告)
燐華(プロフ) - フレンド申請させていただきました。ユーザー名は彼岸花です。 (2019年9月18日 9時) (レス) id: 7838562921 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - サナさん» いただければ幸いです。 (2019年7月5日 15時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:煉華 | 作成日時:2016年12月19日 15時