××××× ページ27
暗くて冷たい水の中。ごぼ、ごぼと時折目の前を気体がのぼっていく。
何か薬剤を投与されているのか、背中から繋がるいくつものチューブのせいで身動きがまったくと言っていい程とれない。
下から水色の光に照らされて、円柱形のガラス管の中で膝を抱え浮遊する僕の瞳に鈍い光が差し込む。
意識は朦朧としていて、もはや僕が今ぼんやりと見ている光景は夢なのかどうかすらハッキリと判別はつかない。
「ああ」
「また失敗だ」
目の前で白衣の男が呟いた。
「取り敢えず、肉は最高傑作の筈だが…」
「どうしてこうも脳ばかり…」
『……』
男はじっと僕の剥き出しになった腕の筋肉や脳を見て言った。
《…仕方が無い。処分だ。》
「××××様！いつの間にいらっしゃったんですか？」
男は素早く一歩下がると、うやうやしく目上らしい男に場所を譲った。
《そんなことはどうでもいいだろう、失敗なら何時ものように一刻も速く処分するべきだ》
「で、ですが、この肉は今までで最高傑作と言える程で、の、脳は、予定通りにGFにでも送り込めば調整が効くのではないかと…」
《…最高傑作か》
後から来た金髪の男も同様に僕の身体をジロジロと見回し、言った。
《…GFの第3プラント》
「…はい？」
《次の入荷予定は》
「あ、ええと、丁度１ヶ月後です」
《そうか。それなら問題ないだろう》
男はそう言うと踵を返して、去って行った。
白衣の方は安心したようにホット息をついて、僕を見つめ直す。
「良かった。君は死なないで済んだらしいよ。上手く行けば、食用に生産された君でもママとして大人になる事が出来るかもしれない。」
「まあ、そんな事はさせないつもりだけど。」
「…さて、と。君が産まれる準備を始めなきゃね」
「おやすみ。一瞬でも穏やかな眠りを。」
パネルを白衣の男がいじると、僕は直ぐに深い眠りについた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジュリー(プロフ) - みかん星人さん» 了解しました！どんどんコメ来ると嬉しいです！END分岐が多いようなので、別でEND集を作ろうと思いまーす！ (2019年3月2日 13時) (
レス) id: 3e129eef4c (このIDを非表示/違反報告)
みかん星人(プロフ) - コメント失礼します！個人的には2番寄りの6番が見てみたいです...wwもちろん何番でも楽しみですけど！更新楽しみにしてます！ (2019年3月2日 12時) (レス) id: 8089ca85b5 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリー(プロフ) - 杏里さん» コメありがとうございます！(泣)了解しました！欲張りさんでもウェルカムなので他の方もコメお願いしますー！ (2019年3月2日 12時) (レス) id: 3e129eef4c (このIDを非表示/違反報告)
杏里 - 初コメ失礼します。アンケート12がいいです！（欲張り） (2019年3月1日 23時) (レス) id: 4f6b7da3ac (このIDを非表示/違反報告)
ジュリー(プロフ) - コメントお願いします！来たら嬉しすぎて泣きます。来なくても泣きます。(好きなやつだけ書くかもです) (2019年2月24日 15時) (レス) id: 3e129eef4c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジュリー | 作成日時：2019年1月13日 12時
