天秤はゲームの中で十分。 ページ4
｢喧嘩…にしちゃあ一方的すぎるね…何があったか知らんけどやりすぎだよ。｣
Aが間に入り込んだおかげで助かった、と息を着く者は誰一人といなかった。相手がラクサスなのもあるが、喧嘩の仲裁に入るという事がこの少女は尽く向いていない。加えて何が楽しいのか知らないが、Aはよくラクサスをからかう。見てるこっちがヒヤヒヤして命がいくつあっても足りない。
｢A、聞いたぞテメェ…ギルド抜けるんだってなァ？お前もあれか？舐められてばっかで弱くなった
両手を広げ、嘲笑して言い放つ。対してAは普段と何ら変わらない態度だった。ラクサスは今随分腹が立ってるらしい。余計な事は言うなよ、という念をジェットとドロイはAに送った。
｢違う違う。ボクらは死ぬのが怖くなって抜けるの。｣
｢そ！でもまぁ、マスターが首を縦に振ってくれないから一応まだギルドの人間だけどね。｣
ヘラりと笑ったAにラクサスの怒りはまた一つ募った。どいつもこいつもヘラヘラしやがって。だから舐められるんだ。しまいには死ぬのが怖くてギルドを抜けるとほざきやがった。ラクサスはギリギリと奥歯を噛み締める。
｢ラクサスいつになく荒れてるね〜。反抗期？｣
｢うぇ！？ラクサス反抗期まだ終わってねーの！？なっげーなァ！｣
フルフルと怒りで震える拳に雷を纏う。Aの強さはジェット達も知っている。何だって最年少でＳ級魔導士になった実力者だ。だが、いくらAでもラクサス相手には敵わないと声を上げた。振り上げたラクサスの拳は振り下ろされる前に止まる。｢ラクサス｣と名前を呼ぶAがいつになく真剣な顔をしていたから思わず止まってしまった。
｢これだけガジル殴ったんだ。もういいでしょ。ほれ、帰った帰った。｣
ジェットは唖然とした。彼だけじゃない。ドロイもレビィも口を半開きにさせている。もう一度言うがAは喧嘩の仲裁に入るのが尽く向いていない。向いてないなんてものじゃない。状況を悪化させる奴だ。それなのに、Aはこれ以上ラクサスを暴れさせずに帰した。舌を鳴らして、未だ怒りで震える拳を握って、くだらねぇと呟いて背を向けたラクサスを見て唖然としていた。
何気にゲームってあまりやったことない→←平和に笑顔でいたいね。
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作者名：ピーナッツ | 作成日時：2022年3月19日 15時
