検索窓
今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:42,692 hit

絶望は優雅を生む 6 ページ10

気がついた時には、使用人も母も血を流して倒れ、家には炎がまわっていた。私がやったのだろうか。
死体が焼ける臭いが鼻をかすめた。気持ち悪くて、膝を抱えたまま震える。怖い。死ぬのは、怖い。でも、この炎の中では最早逃げ出すこともできない。

炎が天井まで届いている。がしゃん、と廊下にあったシャンデリアが落ちる音がした。

「今晩は、お嬢様」

視界に誰かの靴が見えて、顔をあげるとそこにはこの間会った男性がいた。この炎の中、どうやってこの部屋に辿り着いたのだろうか。疑問を抱いたまま彼を呆然と見つめていると、男性が手を伸ばしてきた為、慌てて後ろへ下がる。

「貴方……どうして此処に……」

「云っただろう?私は女性が気になってしまう性分だと」

男性はあの時、私と別れた後、家までつけてきたのだという。だから私の家を知っていたと。立派なストーカーじゃないか。

「ああ、そんなに警戒しないでくれ給え。ここは危ない。さぁ、早く外へ出よう」

「…でも、こんな炎じゃ外に出れないわ」

「出れるさ。【君】が出たいと思うのならばね」

この人は何しに来たのだろう。私を助けに来たのなら、もうとっくにここから無理やり外へ連れ出しているはずだ。私の意志など関係ないはずなのに、どうして。

「でも、私には外に出ても居場所がないわ」

「だったら作ればいい。私が君の居場所となろう」

「……それでも、血は抗えないわ」

「血筋なんて誰も気にしないさ」

「……」

「君はもう、自由だ」

―――もう、この家に縛られなくていいんだよ。

絶望は優雅を生む 7→←絶望は優雅を生む 5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
58人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 中島敦   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。