絶望は優雅を生む 6 ページ10
気がついた時には、使用人も母も血を流して倒れ、家には炎がまわっていた。私がやったのだろうか。
死体が焼ける臭いが鼻をかすめた。気持ち悪くて、膝を抱えたまま震える。怖い。死ぬのは、怖い。でも、この炎の中では最早逃げ出すこともできない。
炎が天井まで届いている。がしゃん、と廊下にあったシャンデリアが落ちる音がした。
「今晩は、お嬢様」
視界に誰かの靴が見えて、顔をあげるとそこにはこの間会った男性がいた。この炎の中、どうやってこの部屋に辿り着いたのだろうか。疑問を抱いたまま彼を呆然と見つめていると、男性が手を伸ばしてきた為、慌てて後ろへ下がる。
「貴方……どうして此処に……」
「云っただろう?私は女性が気になってしまう性分だと」
男性はあの時、私と別れた後、家までつけてきたのだという。だから私の家を知っていたと。立派なストーカーじゃないか。
「ああ、そんなに警戒しないでくれ給え。ここは危ない。さぁ、早く外へ出よう」
「…でも、こんな炎じゃ外に出れないわ」
「出れるさ。【君】が出たいと思うのならばね」
この人は何しに来たのだろう。私を助けに来たのなら、もうとっくにここから無理やり外へ連れ出しているはずだ。私の意志など関係ないはずなのに、どうして。
「でも、私には外に出ても居場所がないわ」
「だったら作ればいい。私が君の居場所となろう」
「……それでも、血は抗えないわ」
「血筋なんて誰も気にしないさ」
「……」
「君はもう、自由だ」
―――もう、この家に縛られなくていいんだよ。
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時