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たえまなく過去へ押し戻されながら 3 ページ17

「ほう。珍しいデザインだ。陶磁器には詳しいつもりだったが…どこのブランドかな?ロイヤル・フラン?あるいはエル・ゼルガか」

「隣の下村陶器店です」

「それは失礼」

ナオミちゃんは組合の長の態度が気に入らないのか、素っ気ない態度で返した。私も同じ立場だったらそうする。そんなナオミちゃんの様子を気にすることもなく、組合の長は懐から名刺を取り出して机の上におく。

「フィッツジェラルドだ。北米本国"組合"という寄合を束ねている。そのほか個人的に三つの複合企業と五つのホテル、それに航空会社と鉄道と――」

「フィッツジェラルド殿。貴殿は懸賞金でマフィアを唆し我らを襲撃させたとの報が有るが、誠か」

「ああ!あれは過ちだったよ親友。まさかこの国の非合法組織があれほど役立たずとは!謝罪に良い商談を持ってきた」

社長が目を細くすると、そこでフィッツジェラルドさんは再び指を鳴らした。社長の鋭い視線に怯えることなく続ける。

「悪くない会社だ。建物の階層が低すぎるのは難だが、街並みは美しい」

そばに控えていた男の人がアタッシュケースを開ける。そこにはぎっしりと大金が詰め込まれていた。海外の方はいちいち指を鳴らすのが流行りなのか。

「この会社を買いたい」

その言葉に、私は思わず顔をしかめた。この場の空気が凍るのを感じた。きっとみんな同じ顔をしている。

「勘違いするな。俺はここから見える土地と会社、すべてを買うこともできる。この社屋にも社員にも興味はない。あるのは一つ」

「……真逆」

「そうだ。"異能開業許可証"をよこせ」

組合の長がいうには、異能開業許可証は、合法的に開業するには内務省異能特務課が発行した許可証が必要らしい。特務課は表ではないことになっているから金では買収できないそうだ。

彼は探し物をしている為、必要だと言ったが、そんなことは探偵社には無関係だ。社長は短く「断る」と返答した。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 中島敦   
作品ジャンル:恋愛
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時

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