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episode.4 ページ4

…。


太宰が帰って来た時、芥川は未だ、微睡みの間を彷徨っていた。


「…只今」


ぼそ、とした愛する人の声に、ぼんやりとしていた芥川の意識は一瞬で醒める。

芥川が反応しようとする前に、太宰は芥川の隣に横たうる。
そして、やや乱暴に芥川の瘦せた背中を抱き締めた。

おそらく、芥川が起きている事に気付いていないのだろう。

…温かい…。

太宰の腕は、熱かった。

芥川は全身から力が抜けていくのを感じた。

太宰の漏らす吐息は、高価な洋酒の酒精(アルコール)が混じって甘く、悪戯に芥川の鼻腔を(くすぐ)る。

これは、大分喰らって来たようである。
体温が上がるのも無理は無い。


「…中也が、君を引き抜こうって」


不意に、太宰がぽつりと零す。

「君に優しくしない私の許依り、俺の所の方が善いだろ、って…」

これが大酒の原因なのだろう。

芥川は戸惑う。

──彼の中也が、其んな事を…。

そして、酔っている所為だろうが、太宰の声は、何時もの様に冷淡とも取れるような落ち着き払った声では無かった。

泣きそうな、弱々しく、重さのない声の太宰など、芥川が見るのは初めてだった。


「優しくない、なんて…中也なんかに何が判るの?」


幼子(おさなご)のように芥川の背に顔を埋め、籠った声で吐露する太宰。


「私だって、優しくしようと、頑張っているのに…」


芥川の胸を、何か熱の有るものが満たしていった。

──慣れて居なくて、戸惑っていたのは自分だけでは無かった。

不意に思う。

太宰も(また)、自分と同じ様に─
否、ひょっとしたら、自分以上に悩んで居たのかも知れない。

今迄部下として、上下関係以上に冷酷に接してきたのに、昨日の今日で素直になれる訳がない。


「中也なんかに、渡さない…」


はっきりと感情の滲んだ声は、弱々しい裏に(たし)かな質量を持つ。

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太芥愛する人間といえない人間 - 萌えました!!美味しかったです!素晴らしい作品ありがとうございます!リクなのですがドス君(攻め)×ゴーゴリ(受け)などはいけますでしょうか!できたらお願いします<(_ _)> (2019年7月22日 22時) (レス) id: 1af3b5ff3f (このIDを非表示/違反報告)
桃坂 - 太宰さんが可愛いです…! ものすごくキュンキュンする太芥を有り難う御座いました…! リクエストいいですか? 敦芥か芥敦お願いします! (2017年5月10日 20時) (レス) id: 2541e4ebff (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごいです!上手く始まらせて、短い話数で上手く終わらせて。なんか感動しました。私的には、太宰の少し初心な初々しさにキュンときました(*´ω`*)リクエストいきます。旧双黒の中也受けか、少しマイナーかもしれませんが太国か森太が良いです!お願いします! (2017年5月7日 8時) (レス) id: c3a5a30d5d (このIDを非表示/違反報告)
無音アンドロイド(プロフ) - ルンルンs,りんごs>リクエスト有難う御座います、承りました。宜しければどのようなシチュが良いか、も教えて頂けますか? (2017年3月25日 23時) (レス) id: 98734fc812 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - なんとも言えない2人の心象に心を打たれました。素晴らしい太芥でした…! (2017年3月25日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無音アンドロイド | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=229f2f62f7b86e42d1de716c8d2ed481...  
作成日時:2017年1月29日 10時

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