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「......あれ？」
先ほどまで自身の楽譜を眺めていたAは、どうしたのか。
なぜか床で楽譜になにか書いている。
「朝霧先輩〜？」
スバルが呼びかけるがお構い無し。
本当にスランプなのだろう、眉を寄せては書き直してを繰り返している。
「......やっぱり納得いかない」
動かしていた手をとめて呟いた。
「そ〜かな？ 俺はこれでも『じゅうぶん』だと思うよ？」
楽譜の読み方とか、よくわかんないけどっ☆ と、Aの肩ごしにそれを見て告げたスバル。
突然至近距離で話しかけられ、Aはすこし驚いたようすだ。
だが、すぐ難しい顔になってスバルに言う。
「ダメよ。歌詞があわない、あなたたちにぴったりな言葉が......浮かばない。
こんな曲、あなたたちには、お客様には、到底届かない」
プロデュースをするのなら、彼女も彼女なりに全力を尽くしたいのだろう。
きっと、彼女も思いは同じだから。
「どれを選ぶのか、それを決めるのは俺たちです」
北斗が、歌詞を訂正するAの正面で、静かにそういった。
「まず、聞かせてください。......朝霧先輩の音楽(メロディー)を」
北斗の意見に同調するように、真緒もまた、彼女に。
「......生意気ね。
聞くのは勝手だけれど、後悔しても知らないわよ。苦情は一切受け取らないから」
「はいっ！」
彼女の言葉に、4人は嬉しそうにうなずいた。
「すっっっごぉい！」
ぜんぶの曲を聞き終え、開口一番、スバルの言葉だった。
「あ、僕、この曲がいちばん気に入ったよ！」
「おぉっ！ それいいねウッキ〜！ でも俺はこっちのが好き〜♪ こっちのほうがキラキラしてるっ☆」
真とスバルがAの作った曲でいちばんのお気に入りを選ぶ。
「俺的には、こっちのほうが結構好きだな。俺にあってる気がする」
「うむ。俺は......この曲だろうか？」
「何で疑問系なんだよ。好きな曲なんて、直感的に『自分が好きだ！』と思ったやつでいいと思うぞ？」
「そうか......。なら正解だ」
続いて、真緒と北斗も。
『ユニット』曲を選ぶつもりが、どうしてこうなったのか、いつのまにかソロ曲を選んでいる。
「ちょっと。私が提供するのは『ユニット』専用曲であってソロ曲じゃないわよ」
「え〜。でも、ダメってわけじゃないんでしょっ？」
そう言われると言葉に詰まる。
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作者名：白銀桜夢 | 作成日時：2018年2月10日 16時
