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「そう思うなら、あんまり苦労かけないでくれよ......。でもまぁ、おまえらはうちの学院の奇人変人のなかでは『まとも』なほうだからな」
友也はため息混じりに、ぶつぶつとお小言(こごと)を垂(た)れている。
「だから、『ユニット』を組んだわけだし。うちの演劇部の変態仮面の相手するより、よっぽど楽ちんだしな〜？」
「演劇部？ ってことは、おまえホッケ〜の知り合い？」
遠慮というものを知らないスバルが、嬉しそうに友也に歩み寄る。
ネクタイの色から先輩だと判断したのか、友也がぎこちない敬語で問うた。
「『ホッケ〜』って誰っすか、もしかして北斗先輩？」
「そうそう。俺、ホッケ〜と『ユニット』組んでんの☆」
「ふぅん。北斗先輩を『Ra*bits』に誘ったとき、『先約があるから』って断られたんですけど。あなたのこと、だったんですね」
友也はおかしな想像をしたようで、青ざめて口元に手を当てる。
「もしかして、今日の対戦相手？ 嫌だあっ、北斗先輩とは戦いたくない！」
「違うよ、俺たちはただ応戦しにきただけ〜♪ ね、先輩っ」
後方にいるAに同意を求める。
彼女も彼を見て、頷いた。
それに満足したのか、さらに笑顔になって、物怖(ものお)じせず問いかける。
「そういや、ちゃんと調べてこなかったんだけど。しののんたち、どの『ユニット』と対戦するの？」
「百聞(ひゃくぶん)は、一見にしかず！ とくと、ご覧(ろう)じろ〜♪」
スバルの質問に答えたのは、新しく室内に踏み込んできた人物だった。
みんなに注目を浴びた、『Ra*bits』の衣装を着た、驚くぐらいの美少年である。
左右非対称の、黄金(こがね)色の髪。
兎のような、深紅の瞳。
肌も白く麗しく、けれど背丈はちいさくて、触っただけで折れてしまいそうなほど細い。
妖精か、はたまた天使のようだ。
正体不明の美少年は、えへんと胸を張って宣言する。
「ふっふっふ。『講堂』に、放送部の権限でカメラを仕掛けてきたぞ〜？ 客の視点から、映像でドリフェスが観られる！」
入り口に近いところでたむろしていたため、彼は部屋のなかまで入れないらしく、ちょっとごめんな、と断ってから小さな身体を活かして器用に滑り込んでくる。
部屋の片隅、天井付近に配置されたテレビとノートパソコンを繋いで、映像を表示されていた。
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作者名：白銀桜夢 | 作成日時：2018年2月10日 16時
