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人柄とか、懐(なつ)いてくれるからとか、そういうのもあるだろうけど。
純粋に、創のすべてを愛していたのに。
「でも今の夢ノ咲学院じゃ、あの子たちの歌声はどこにも届かない」
頭を抱えて、スバルは項垂(うなだ)れる。
「そんなの、酷(ひど)すぎるよ」
世界のぜんぶを拒絶するみたいに、スバルは俯いていた。
『Ra*bits』のみんなが一通り演目を終えたあとも____そのまま、ずっと動かなかったのだ。
お腹とか、致命的なところを刺されて、これから死んでしまうみたいだった。
「『Ra*bits』の演目が終わったあと、曲が止(や)んだあと、拍手があったんだ」
その拍手は、スバルの横から聞こえていた。
「朝霧先輩の、拍手だった。まるで、愛し子を見るような目だった____うっすらと、優しく、微笑んでた。
俺、ぜんぶ終わったあと、聞いたんだ。朝霧先輩に」
『Ra*bits』が舞台を去ったあと、静まり返った『講堂』のなかでスバルは問いかけた。
「先輩は、一言だけ答えてくれたんだ。
【頑張っていたから】
って____」
彼の質問を聞いた彼女は、感情のない瞳を細めた。
そして、遠くを見て、そういったのだ。
その彼女の一言には、いくつもの思いが込められている____そう、スバルは悟った。
「俺、まだどっか他人事(ひとごと)だった。お遊び気分だったよ、正直。ホッケ〜たちがなんで生徒会に抗おうとしているのか、よくわかんないまま仲間になってた」
懺悔(ざんげ)するみたいに、スバルは仲間たちへ吐露(とろ)した。
「笑顔になれるなら、それでいい。生徒会もアイドルだから、きっとみんなを笑顔にする。そう、信じてた。
だから生徒会に勝てなくてもいい、って心の底では思ってたんだ」
傷口を自ら抉(えぐ)るみたいに、悲痛な表情だった。
「でも、そうじゃなかった。今日のドリフェスでは、誰も笑ってなかった。作り笑いばかりがあった、そんなのは豚(ぶた)の鳴き声と同じだ。
価値なんて、ない。そんな冷たい笑いの裏で、たくさんの涙が流れてた」
どうにか笑おうとして、笑えなくて____それが歯がゆいのか、スバルは自分の髪をめちゃくちゃに掻(か)き乱した。
「しののん、泣いてたよ。演目が終わるまでは大丈夫だった、でも終わったあと......。
かわいい顔をぐしゃぐしゃにして、泣きじゃくってた」
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作者名：白銀桜夢 | 作成日時：2018年2月10日 16時
