思い馳せる姫君 (ページ7)

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「だから？」

　結局それがどうしたのか、とでも言うように首をかしげて北斗に問いかけるスバル。

「おまえが今朝、見知らぬ女の子にやったような迂闊(ｳｶﾂ)なことはするな」

「！」

「俺たちがすべきことは、日々よりよいアイドルになるために切磋琢磨(ｾｯｻﾀｸﾏ)することなんだ。同じ『ユニット』に所属する者として明星には、もっと自覚をもってほしい。

　俺たちは一蓮托生(ｲﾁﾚﾝﾀｸｼｮｳ)の仲間だということを、忘れたいでほしいんだ」

「ふむふむ。ホッケーの話は勉強になるな～♪」

　黙って話を聞いていたスバルは口元に笑みを浮かべて静かに言った。

「！俺は真面目に...っ」

　スバルの返答に少し気に食わなかったのか、少々眉をつり上げて反論しようとする北斗。

　スバルはすっと立ち上がり

「忘れたことなんてないよ」

　と言った。

「だって俺たちは【Trickstar】なんだから」

　笑顔で、しかし真剣な眼差しで北斗を見つめて発したスバルの言葉に、北斗は目を見開いき驚く。

　だがいつもと同じ真面目に表情に戻る。

「...わかってくれているならいいんだ」

「もっちろ～ん♪」

「ふふ。今ここに衣更(ｲｻﾗ)くんもいたらよかったのにね」

　北斗がそう言うと、スバルは腰に手を置き元気良く返した。

　真は、今はいないもう一人のメンバーの名前を口にする。

「まあ、衣更はクラスも違うしな。あいつにはあいつの事情が...」

　北斗は窓の外から聞こえる騒音に気付き言葉を切った。

「？グラウンドの方が騒がしいな」

　真は左手の人差し指を立てて言った。

「ちょうどお昼だし、行ってみる？」

...ガヤガヤガヤガヤガヤ

「すごい人だかり！どうもこりゃ『Ｂ1(ﾋﾞｰﾜﾝ)』だね。生徒会のしきりじゃないから、わりと無法地帯っぽい」

「【Ｂ1(ﾋﾞｰﾜﾝ)】か...」

　さすがなんでも知っている放送委員の一員である真は、ステージの周りを取り囲む野次馬を見て言った。