2 ページ50
それは今も変わらねー、とゼクはニヒルな笑みを見せる。
それを聞いたゴリアテは、嬉しそうに笑んでありがとう、と紡ぐ。
｢ゴリアテ…好きだったよ。｣
｢……アタシもよ、ゼクちゃん。出会えて良かったわ。｣
｢……1人にして大丈夫か？｣
｢誰だと思ってるのよ〜、アタシは大丈夫。戻ってあげて、カミュちゃんのとこに。｣
一緒だと泣くにも泣けねーな、と思いゼクは立ち上がる。
そして隣人の頭を感謝と謝罪を込めて、クシャクシャ、と撫でて今の想い人の下へと向かった。
その後ろで、旅芸人が膝に顔を埋め肩を震わせていることは騎士は知らない。
───
町の門を潜れば、 カミュが待ちぼうけしていた。
双子は買い物にでも行ったのか、姿が見当たらない。
｢おにーさん、1人？｣
｢いや、仲間を待っ……ゼク。｣
視線が合い声を掛けてきたのがゼクだと知ると、カミュの眉間に渓谷が刻まれる。
｢なんだよ、シルビアのとこに行ってんじゃなかったのかよ。｣
｢邪魔だってよ、追い払ってくれやがった。…なんてな。｣
ははは、と笑うふりをするがカミュの機嫌は下がる一方でゼクは苦笑う。
｢……カミュ、真剣な話していいか？｣
｢なんだよ、改まって。｣
｢んー…まず最初に、謝る。すまん。｣
突然、隣で深々と頭を下げられ意味がわからずカミュは成り行きを見守ることにしたらしい。
｢グロッタで…お前の気持ちも考えねーで、都合よくとって抱いたこと。マジで悪かった。｣
｢は？あ、あれは……っ！｣
｢けど、後悔はしてねー。｣
そこまで言ってゼクは下げていた頭を上げ、まっすぐ耳を赤くしているカミュを見つめる。
｢出会った時はそんな気持ちなかったんだけどな…旅するようになってお前のこと好きになってた。気づいたら頭ん中にいて、抜くのもお前でさ。｣
そこまでカミングアウトすんなよ、とカミュはどんどん顔に熱が集まっていくのを感じていた。
｢おっさんに言われても嬉しくねーかもしれねーけど、順序も逆だけどよ……好きなんだ、カミュの事が。｣
｢ゼク……｣
｢それだけだ、返事くれとか言わねーから。｣
そのまま去ろうとするゼクだったが、待てよ、と手首を掴まれた。
｢言い逃げかよ、バカヤロー。｣
｢…無理なの分かって｢決めつけんな！｣
カミュに掴まれた手首が、ギュッ、と絞まった。
───
タイミング悪いですが
移行します
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年4月1日 23時
