3 ページ36
16年前に受けた傷を癒す為のエキスを集める為に、アラクラトロはハンフリーを利用した、と暴露した。
「強い人間のエキスを飲めば、我がキズは治る。そのエキスを人間が飲めば、無敵の身体になれる。」
そんな魔物からの甘い誘惑に、ハンフリーは乗ってしまったのが事の始まりだという。
「勝ち進んで金を手に入れる為には、強者のエキスが必要だったんだ。」
「…上にある、孤児院の為だったら何でもするって言うのかよ。」
「あぁ、そうさ。何だってする。」
「……んな事して手に入れた金で、養われてるって知ったらガキ共はどんな気持ちになるんだろーな。」
俺ならグレるぜ、とゼクはハンフリーを蔑んだ目で見ていた。
「すまない!この秘密を知られたからには、お前たちを生かしておくワケにはいかん!」
「ハンフリーさん……どうして…」
ハンフリーは攻撃の構えをとるが、エキスの副作用とでも言えばいいのか突然胸を押えて苦しみ出した。
「やれやれ……愚か者め……自分の身体のことも分からぬとはな。おぬしの身体はあのエキスのせいで既にボロボロじゃ。そうして立っていられるだけでも、奇跡といえよう。」
「ふふ……情けないな。これも、魔物のチカラに頼った報いか……」
その場にバタリ、と倒れるハンフリーを見てアラクラトロは使い物にならないと言い放つ。
所詮ハンフリーはアラクラトロにとっての捨て駒でしかなかったのだ。
「ならばこのアラクラトロ様が、直々に貴様らを始末してくれるわ。」
「私はみんなを救出する!魔物の方は、あなた達に任せたわ!」
そういうなりマルティナは、捕まった闘士達の救出へと駆け出した。
それを阻止しようとするアラクラトロの顔面に、ゼクが一発先制を叩き込んだ。
「今度こそきっちり滅殺してやるよ…!イレブン、ガンガンいくぜ!」
「分かった!ベロニカ、念の為にマホトーンよろしく!」
「了解よ!」
「みなさん、回復は私に任せてください!」
「アタシもサポートするわよ!」
ゼクとイレブンがアラクラトロの攻撃をかいくぐりながら、交互に打撃で押していく。
だが、アラクラトロの攻撃は早く一行を着実に追い詰めていく。
アラクラトロはクモ特有の動きで糸を噴射して、1番厄介だと判断されたゼクの動きを止めた。
「くっそ…!んな、
「ゼクちゃん!」
「構うな!踊れ!」
拘束から逃れようと、ゼクは全身の力を外へ外へと向ける。
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年4月1日 23時