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ウフフッ、と笑いながらもう1人の同室者が扉を閉めて、離れて行った。
そういった雰囲気が霧散してしまい、さすがのゼクも何もせずカミュから離れ自身のベッドへ腰掛けた。
｢…悪ぃ、頭冷やしてくるわ。｣
そう言って立ち上がったゼクを、何も考えずにカミュは呼び止めた。
｢…カミュ、変に期待しちまうだろ。大人をからかうな。｣
｢からかってなんかいねぇし、期待させてんのはそっちだろ…｣
ベッドから起き上がったカミュは、今にも出ていきそうなゼクのベストを握り掴んだ。
｢離せ、カミュ…都合よく取っちまうから。｣
｢都合よく取れよ…オレは離さねぇからな。｣
振り向いてぶつかる青の瞳には、色欲の色が揺れていた。
赫はもう一度向き合ってから、ゴクリ、と喉を鳴らす。
｢マジで、都合よく取るからな…｣
その言葉を最後に、赫と青の距離がゼロになった。
───
翌朝、ゼクが起きた時にはカミュの姿は無かった。
シルビアもおらず、どっちか起こしてくれよ、とゼクはため息をつく。
準備を済ませたゼクは、本戦が行われているであろうコロシアムの観戦席へ向かった。
さすがに本戦ともなると観戦席は満員で、ゼクは自ずと立ち見することになった。
会場全体を見渡せる造りになってる観戦席を見渡し、仲間の姿を探す。
ちょうど自分のいる場所のリング近い席で観戦しているらしく、赤青黄色の見知った頭を見つけて微笑した。
ゼクが寝こけている間に、決勝まで進んでいたらしくリングの上では決着がついていた。
そのまま表彰式が行われたが、ハンフリーが倒れたこともあり後日となりお開きとなった。
｢あ、ゼク！アンタ、今の今まで何してたのよ！イレブンの応援もしないで！｣
｢決勝は観てたっつーの！｣
魔法少女と騎士の恒例の言い合いが始まる。
それを女僧侶が、どうどう、となだめすかしている。
｢イレブンも待ってるだろうし、オレたちも宿屋戻るぞ。｣
｢そうですわね、疲れてらっしゃると思いますしお待たせするのは失礼ですわね。｣
｢行くわよ、みんな！｣
未だイライラが収まらないベロニカが、先頭をきって歩き出した。
｢ったく…俺が何したってんだよ。｣
反りが合わない魔法少女に、騎士はお手上げだった。
盗賊に行くぞ、と促され最後尾を歩き出す。
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年4月1日 23時
