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セーニャの話によると、大会参加者が次々に行方をくらませる事件が発生しているという。
「もし、ハンフリーさんの身に何かあったら……」
「行方不明事件なんて、初めて聞いたぜ。やっかいな事が、起きなきゃいいが……」
「カミュ、俺達の旅先でやっかいごとがなかったことってあったか?」
「……ないな。」
「だろ?杞憂で終われば万々歳だが、一応腹は決めといた方がいいかもな。」
ゼクの言葉に各々が頷く。
「イレブン、お前はパートナーのハンフリーのとこへ行ってちょっと話を聞いてみてくれ。」
「分かった、これから僕行ってくるよ。」
ハンフリーの下へ向かう勇者を見送った4人は、宿屋の滞在部屋へと戻った。
───
部屋に戻ったゼクは、何気なしにベッドへうつ伏せに倒れ込んだ。
「負けちまったな。」
「予選落ちとか、クソダセーよな。」
カミュもゼクと同じようにベッドに横になっていた。
互いにみやれば、自然と絡まる視線に2人は逸らせなくなった。
「カミュ…」
「な、んだよ…」
無意識に何かを期待する盗賊の顔は、赤みが増していく。
それを知ってか知らずか、騎士はそれではない赤みを指摘する。
「な、なってねぇよ!」
「なってるっつーの。」
ムクリ、と起き上がりゼクは徐にカミュのベッドへと乗る。
人1人分の重さが増えて、ベッドがギシリ、と悲鳴をあげた。
カミュは期待と羞恥で、体をよじり仰向けになった。
動くなよ、とゼクがカミュの体を膝立ちで跨いで縫い止める。
「ほら、ここ…」
「へ…?」
ここ、とゼクに触れられた箇所がまた別の熱を持つ。
ブワッ、という効果音が付きそうな勢いでカミュの顔が赤くなった。
無意識で動いていたらしく、ゼクはハッ、としてそのままカミュを見下ろしていた。
「け、蹴られた場所だよな…あ、赤くなってたの……」
「……わかんねーくらい、真っ赤になったぞカミュ。」
「お、おい……っ!」
盗賊の顔の両脇に騎士は両手を付き、動きを封じて見下ろしていた。
口ではやめろと抵抗する盗賊も、その目は期待に満ちていて騎士をその先へと誘い始める。
ゆっくりと赫が青へと距離を詰め、後数cmで互いのそれが触れようとした時第三者の声で止まった。
「お取り込み中だったみたいね〜、お邪魔したわ〜。」
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年4月1日 23時