仮面武闘会 ページ26
翌朝、ロビーに集合した一行は揃ってチェックアウトをする。
「…あ、イレブン薬草切れそうだぞ。」
「さすがにそこそこオレたちも強くなってるんだし、次の町くらいまでは補充しなくていいんじゃねぇか?」
メインの道具袋を覗き込みながらイレブンに報告していたゼクの傍で、カミュもひょこっと中を覗き込みそう言った。
視線を袋の中からカミュへと移し、それもそうか、と納得する。
「私もいますから、大丈夫ですよ。」
「それに〜、今の所唯一全体回復できるアタシもいるじゃな〜い!」
「セーニャはともかく、シルビアのハッスルダンスは精神的にダメージが…」
「お黙り、ゼクちゃん!」
お仕置と称して、シルビアがゼクを抱きしめる。
相変わらず、勇者一行はやかま……賑やかである。
───
ネルセンの宿屋を発ってから数刻、一行はグロッタの町へと辿り着いた。
町に入るなり、出迎えたのは大きなグレイグの像だった。
「ついに、来たわね!屈強な男達が集まる町、グロッタ!」
「チッ!ここでもグレイグが英雄扱いされてるってワケか。まったく、胸糞悪いぜ。」
「よく分かるぜ、その気持ち。…ぶっ壊してやっかな。」
カミュに賛同してゼクは、うんうん、と頷く。
並べば自ずと見下ろされるゼクは、少しは自分が見下ろしたいと日頃から思っていた。
座っているグレイグにたいし、身長縮めよ、とつむじをグリグリ押すくらいには腹立たしかった。
そんな一行の下に、ひとりのバニーガールがやってきた。
「ハ〜イ、カッコイイお兄さん達。格闘大会には興味がおありかなっ?今度、仮面武闘会っていうすっごい大会が開かれちゃうの。ウデに自信があるなら、参加してみてね〜。」
言いながらバニーは仮面武闘会なるチラシをイレブンに渡し、小さなシッポをフリフリと揺らしながら離れていった。
「なになに……」
「"血湧き肉躍るタッグマッチ、仮面武闘会開催のお知らせ。優勝者には、豪華賞品を贈呈!"……んだよ、そそられるじゃねーか。」
「仮にもオレたち、追われてる身だからな?」
「てっきり踊る方の舞踏会かと思ったけど、戦う方の武闘会なのね。でも仮面ってなんの事かしら。」
会場は、町の中央にそびえ立つタワーの屋上にあるコロシアムと記載されていた。
そこで、ベロニカがそのタワーの入口であろう場所に求めている物があることに気づいた。
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年4月1日 23時