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「サマディーの王様が行商人に売った虹色の枝が、巡り巡ってこの大会の優勝賞品になってたのね。」
「ということは、お姉さま。あの枝が手に入れば、大樹への道が……」
双子の間で意見が纏まったらしく、魔法少女が勇者に大会で優勝するしかない、と提案というよりミッションを課した。
「要するに、だ…俺達の誰かが優勝すりゃいいんだろ?」
「そういうことになるわね。」
「イレブン、どーすんだ?」
「出るよ、僕は。…なんか、楽しそう。」
「あらやだ、ゼクちゃんの戦闘狂がイレブンちゃんにも伝染してるわ。」
話し合いで、双子以外の男達が大会へエントリーすることとなった。
コロシアムへ続くタワーの入口で大会参加の受付を済ませ、選手となった4人は屋上へ登るエレベーターに乗り込んだ。
会場へ入ると、パートナー決めの抽選が行われた。
進行役の男が数字の書かれたクジ引き、2つ揃ったらパートナーだという。
スムーズに、とはいかなかったものの全選手のパートナーが決まった。
赫い鬼のような仮面を着けたゼクの隣に立っているのは、なんの因果か青みがかったシルバーの至って普通な仮面を着けたカミュだった。
選手控え室に戻ってきたゼクとカミュは、阿吽の呼吸でグータッチした。
「頼むぜ、ゼク。」
「目立つだろとかいいながら、やる気満々じゃねーの?…勝つぞ。」
仮面を外して、2人は不敵に笑い合う。
「ちょっと〜、見せつけないでちょうだい。」
そこにはシルビアがいて、2人を茶化してくる。
「そんなんじゃねぇって。」
「ホント〜にそうかしら。」
背を向け否定するカミュから、シルビアはゼクへと視線を向ける。
「ただ士気高めてただけだ、お前が思ってるような他意はねーよ。」
野暮なことしてんなよ、と仮面を袋へ入れて腕組みして壁にもたれかかる。
「…良かったわね、パートナーに選ばれて。」
傍に寄ってきたシルビアは、声のトーンを落としてゼクに話しかけてきた。
「…面白がってんじゃねーぞ。」
「いいじゃな〜い、減るもんじゃないし。」
「お前なー……っと、イレブン戻ったみたいだな。」
自分達とは反対側で、カミュと戻ったばかりのイレブンが話しているのを見つけてゼクは壁から背を離した。
「イレブン、付いてるな。前回大会優勝者がパートナーとは。」
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年4月1日 23時