47.理不尽 ページ8
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両手で包み込めばふんわり温かい紅茶のカップ。
私の手はそれに反比例するように冷えていく。
10数分頭の中で全てを整理した。それでもまだよく分かってないけど。とりあえず危険なんだな、ってそれくらいしか結論が出なかった。
知念くんもそれから喋らないし、テーブルの上にあったトーストはもう無くなっている。
周りのお客さんの雑談しか耳に入ってこない。
周りの人を見てると、なにもしてないしされてないのに…何故かムカムカしてきた。
私たちはこんなに大切な話をして、辛い話をして、重い空気になってるのに、この人たちはどうでもいい世間話なんかして。
って、理不尽などこにもぶつけることの出来ないイライラ。
「………これか、」
有岡くんが味わってたのはこれのもっともっと何倍も辛くて憎らしいことだと思うけれど、今の私の気持ちと重なってる気がする。
すごく理不尽だし、周りの人たちはなにも悪くないのに自分の都合で勝手に憤りを覚えてる。
きっと有岡くんも涼介にこんな気持ちを抱いてたんだろうな。
そのとき、軽快で、いまの空気に全然合ってない、着信音が鳴り響いた。
ポケットの中で揺れるそれの画面に映し出されていたのは、『涼介』の文字。
…あぁ、タイミングが良いんだか悪いんだか。
でも、すごく嬉しい。
画面を見た瞬間に肩の力が抜けたとき、涼介のありえないほどの安心感に気がついた。
知「……もしかして、涼介?」
「うん、ごめんね、ちょっと出てくる……」
知「…待って、」
席を立ち上がったと思ったのに、手首を掴まれて、いつの間にか元の場所に戻っていた。
手の中には、まだ震えてるスマホ。
目の前には、少し耳を赤くした知念くん。
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すず(プロフ) - 続き読みたいです、、、 (2023年3月22日 21時) (レス) id: 805e7134f6 (このIDを非表示/違反報告)
香奈@ゆーや担 - はじめまして!この作品、とても素晴らしいです!更新頑張ってください!あと……、『毎日JUMP』のパスワードって教えて貰えますか?よろしくお願いします! (2018年6月8日 17時) (レス) id: b5bdab2fb2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - るなさん» ありがとうございます!今少し仕事がバタバタしていて更新頻度が落ちてしまっているので、もっとがんばります! (2018年4月5日 11時) (レス) id: 3432f9431c (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - すごくドストライクなお話です(>_<)更新頑張ってください! (2018年4月3日 18時) (レス) id: 8cb6705672 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - お気に入り登録100人ありがとうございます!これからもこの作品をよろしくお願いします(^^*) (2018年3月20日 20時) (レス) id: 3432f9431c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきの | 作成日時:2018年2月25日 16時