*弐拾捌幕* ページ32
「漆夜姫を焼き滅ぼせ!!」
「殺せ!!幕府の命令だ!」
壮大な心声が私の耳と言う狭い空間に
嫌でも聞こえて来る。
《………漆夜を討てば、俺は一生遊んでいける!!》
《奴がいなくなれば、俺は高い地位を得られるぞ♪》
その声は幕府の使いの心の声だ。
その中から“喜び”の声が聞こえる。
恐らく私を討てば、
大金を貰う事となっているのだろう。
ズキン……
ズキン…………
胸の奥の方にまた痛みだした。
自分の首筋に手を抑える。
そこにある“赤黒い牙の跡”が熱く感じる。
その時だった。
鴇時「姫…………
俺があなたの身代わりとなります故、
裏口からお逃げ下さい」
A『ッ!!鴇、何を言う!?
駄目だ!奴らの狙いはこの私………
それに、私一人でも倒せる!!』
鴇時「………その異形の腕で、ですか?
今まで隠して来たのが意味がなくなります!
あなたはその力で守るべきものがあるでしょう!?
あなたしか出来ない事を成すんです!!
………今、あなたを失えば、
俺はあなたの兄上様に面子が立たない………
あなたを失いたく、ない…………」
そう言い、鴇は刀を持って立ち上がる。
火も回って来た。
炎はゴウゴウと屋敷を焼き尽くして行く。
A『鴇ぃ!!』
鴇時「姫、念の為に男装を…………
“闇鬼”の姿であれば大丈夫でしょう。
行って下さい。
兄上様や、俺の為に生きて下さい………」
目が熱い。
私の瞳からは幾つも涙が溢れ、頬を伝っていく。
お前まで…………
兄様と同じように………お前までもか………?
嫌………だ……………
鴇時「大丈夫ですよ。
俺とて“妖狐”…………
人の子のように簡単には死にません(微笑」
『『大丈夫だ。直ぐに追いつく。
だから、生きてまた会おう………A』』
鴇の顔に兄の顔が重なる。
逝かないで…………
一人に、しない…………で………
そんな私の心の声は届かない。
涙を拭い、男装した後に鴇にもう一度向き合う。
A『鴇…………
また………ま…た…………
会お…ぅ………(泣』
鴇時「………はい。
…………俺は、お前に出会えて
良かった………」
私は叶う筈もない“約束”をして、
裏口から逃げる際に、
背後から微笑みながら
私を見る鴇の視線を感じた。
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★紅葉☆くれは★(プロフ) - 弓 桜さん» ありがとうございます!!これからも黒百合、宜しくお願いします(^-^*) (2016年2月14日 1時) (レス) id: 57bf35a786 (このIDを非表示/違反報告)
弓 桜(プロフ) - ★紅葉☆くれは★さん» 土方さんと一君の会話が...www続編、楽しみにしています♪ (2016年2月14日 0時) (レス) id: 484d75b51c (このIDを非表示/違反報告)
弓 桜(プロフ) - ★紅葉☆くれは★さん» 確かに!!その不器用さを書けたくれはさん、凄すぎる....。゚+.(・∀・)゚+.゚ (2016年2月12日 23時) (レス) id: 484d75b51c (このIDを非表示/違反報告)
★紅葉☆くれは★(プロフ) - 弓 桜さん» 土方さんは不器用なので何となくそんな感じで主人公を生かしてくれるんじゃないかなぁ?と思っただけなので……;;お褒め頂き光栄ですヾ(^▽^)ノ (2016年2月12日 23時) (レス) id: 57bf35a786 (このIDを非表示/違反報告)
弓 桜(プロフ) - ★紅葉☆くれは★さん» そうですか……...って、え!?暗記!?す、凄い...(; ・`д・´)そして、土方さんらしいですよ!!どうやったらそんなに上手に書けるんですかぁぁぁぁぁ!!o(>ロ<o) (o>ロ<)o (2016年2月12日 23時) (レス) id: 484d75b51c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:★紅葉☆くれは★ x他1人 | 作者ホームページ:http://seekanoteu
作成日時:2015年11月25日 18時