薄桜鬼｡+ﾟ+｡黒百合ノ雫｡+ﾟ+｡壱章

＊弐拾伍幕＊ ページ29

刹那「総司ぃ！

この姉ちゃんが、

オイラを殺そうとしてる！！」



漆夜『沖田殿…………』




漆夜ちゃんはその異形の右腕を
刹那に向けて振りかざそうとしていた所だった。





総司「いくらなんでも、

子供を殺すのはどうかと思うよ？」




漆夜『惑わされるな！！

この者はもう、沖田殿が知る童ではない！！』




刹那「総司ぃ！！助けてよぉ！！」





…………僕は………どっちを選べばいいの？

漆夜ちゃんが言っている事は
まだ信じられないし………


でも…………





総司「…………僕は、漆夜ちゃんを信じる」





漆夜『沖田殿…………』





総司「確かに、君が言っている事は
僕はまだ信じられない。


でも、その目を僕は信じる」




真っ直ぐと僕を見る君を信じるよ。

さっきだって、怪我してまで
僕を助けてくれた。




だから、信じる…………

その時だった。





刹那「ぅ…ぁあああああ"あ"」





総司「ｯ！？刹那！！」




漆夜『待て！！お前も喰われるぞ』





突然、刹那は苦しみ出して、
身体から“黒い霧”が出て来た。



そして……





鬼穢《グォオオアアアア！！》





刹那は化け物となって、
僕達に襲いかかってくる。




総司「………本当に、殺すしかないの？」





僕は静かに漆夜ちゃんに問いただす。

僕の声は微かに震えていた。





漆夜『…………嗚呼』





漆夜ちゃんのその答えを聞いた僕は、
愛刀を抜刀した。


多分、あの化け物も
羅刹と同じで、ただ斬っても直ぐ治ると思う。




そう悟った僕は走り出して、
化け物………“鬼穢れ”の目を刀で突き刺した。



ドシュ！！





鬼穢《ギャアアアオオオオ！！》




総司「ｸｯ…………漆夜ちゃん！」




漆夜『ｯ！！』





そして、僕が合図をするのと同時に、


漆夜ちゃんはまた、
右腕に鋭い漆黒の羽を生やして、



化け物の首を斬り落とした。





ザン！！





声も上げずに鬼穢れは倒れ、






総司「“灰”………？」





何もなく灰となっていった…………

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