ようこそ、海賊『浦島坂田船』へ《歌い手》

海賊 ８ ページ10

「うらさん、あの二人に次会う手順整ったで」


私をからかい終わったセンラさんは、穂先で海を眺めているうらさんに声をかけた。


「え、マジ！？会えるん！？」
「坂田落ち着け、結構早かったな、どうなったんだ？」
「明日、雨が降るんや。あの二人は雨の後にしか現れんからね。新米さんも見せておきたいところやし、何より最近は敵の襲来が多すぎる。相手も同じ状況なら、情報交換すべきやろ」


雨が振ったあとにしか現れない………？
宗教的な理由でもあるのだろうか？


「なーに警戒しとるんや」
『………志麻くん』
「あん二人は俺達も信頼しとる、なんも心配する必要なんざないわ」


わしゃわしゃと頭を撫でられて、私は子供扱いするなと睨み付けながら宙に浮かび上がった。


帆の上まで浮き上がり、鎌を抱き締めるようにしながら周囲を見渡す。



…………本当だ、南の方向に大きな雨雲がある。
これなら明日ぐらいには大雨になるな。


『うらさん、うらさん。会いたい人が居るのは分かったけど……嵐になったらどうするの？』
「あぁ、そこでセンラマンの出番なんだよ。センラマンの魔力は雷電だけど、電気で結界を創ることも出来る。航海してる海賊としてはこの上なく便利な使い方だよ」
「人をロボみたいに言わんといて下さいようらさん」


ふわりと穂先の方に座って、四人を見る。
…………仲良いんだなぁ、みんな。

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