misbehave Ⅱ (ページ5)

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水族館を出てお昼を食べていない事を思い出した。

｢ねぇ、お腹減らない？｣

｢へぇ？減ったっす！！行こ！！！何食いたい？｣

何となく今日は岸に奢ってもらってばかりだからお昼くらいは岸の好きなものを食べて欲しい。と思ったから、近くのお蕎麦屋さんを指差し提案した。

｢えぇ！！蕎麦でいいの！？俺に気ぃ遣ってる？？Aの好きなのでいいんだよ？ほら！映えとかさｯ！！｣

｢岸こそ今日何か変。笑別に私映えとか気にしないし、蕎麦食べたい気分になったの！ほら！行くよ！笑｣

手を取って私が岸をグイグイと蕎麦屋まで引っ張った。
岸は口ではブツブツと戸惑った言葉を発しているけど、心底嬉しそうにニコニコとしている。
本当に岸は嘘や隠し事が苦手な類の人種だ。と岸のピュアさを再確認した。

お蕎麦屋さんに入って二人で蕎麦をすすって、先に食べ終わった岸は私をじーっと見て時折にやっと口角を上げたり手を口に近づけてみたり…、いつもの事ではあるが、今日のその仕草は正直気になる…。

｢…。なに？落ち着かないんだけど。｣

｢へｯ！？あっ、いや！なんかマジでAと付き合ってるんだな…って思うと未だに信じれないっつーか、、なんつーか、、｣

｢何それ、笑もう1年くらい付き合ってるのに？｣

｢…。A実は…さ、、、そのぉー、1年と4ヶ月なんっすよ…、今日…。｣

｢…｣

｢…｣

｢え、？そうだったんだ…、何か、ごめん。｣

岸は必ずと言っていいくらい記念日を祝いたがる。
私もその岸の騒ぐ姿で何となくあぁ、そう言えば。と思い出す。
でも、今回は何も言われなくって気付かなかった。
その事が何だかものすごく申し訳なく感じた。

今は、岸は美玲に付きっきりで、モヤモヤした気持ちになったし、何より不安で寂しかった。
なのに、私は岸との大切な日を憶えてない。

そう思うと胸が締め付けられ謝る事しかできなかった。

｢えぇ！！そんな落ち込む？Aいっつもそんな感じじゃん笑俺、今日マジで嬉しかった！Aから誘ってもらうのなんて滅多にないし、最近中々時間無くって逢えなかったし。だからさ！今日マジで！ガチで楽しい！！ありがと。｣

私の頭を暖かくて優しい大きな手で撫でてくれた。
岸はとても柔らかく、優しくて、包み込んでくれる様なそんな表情だった。