伯弐拾壱頁─双ツノ黒ト 9─ ページ17
太宰さんが夢野君に絡みつく蔓を
そんな中、私はここ最近の疲労と眠気で重く閉じかける目を“任務は絶対に失敗しない”という信念でなんとか抵抗していた。
ふと妙な視線を感じ、訝しみながら目だけを動かしてその方を見る。
其処にはいつの間にか隣に移動していた中也さんが此方をじっと見ていた。
『どうかしました?』
「手前、最近かなり無理してンだろ」
私の問いかけに彼は視線を前に戻す。
静かに心臓が大きく波打つ。
変に悪ノリされるのを覚悟し、恐る恐る顔を中也さんに向ける。
しかしその横顔は私が恐れていたものではなく、いつもの何でも任せられる頼りがいのあるものでもなく、どこか霧がかかったような曇った表情をしていた。
『別に普通ですけど。どうしてそう思いましたか?』
「
即答だった。
思わず右目に手が伸びる。
勘でもなく、当てずっぽうでもない。
その曇った表情とは裏腹に、彼の声はそれ以外には考えられないと云わんばかりの力強さがあった。
「手前には二年前にも首領の命令で会ったが、そん時の手前は組織に居た時には見なかった目をしていた。この前、太宰の野郎と一緒に捕まってた時もだ」
口を閉じ、一音一音を逃さないように耳に意識を集中させて彼の言葉を聴き取る。
部屋には無感情な幹を切る音と言葉の残響だけが充満していた。
「だが俺が探偵社に言伝しに行った時には違った。また裏でこそこそと何かしてンだろ?俺にバレるくらいだ。口には出さねェだろうが彼奴にはとっくにお見通しだろうよ」
塞ぐだけでは足りないほどに耳が痛い。
確かに彼が気付いたことを最近ずっと一緒に居た太宰さんが気付かないわけが無い。
そう云われてみれば、ここ数日は比較的私が得意な仕事ばかり回ってきていたような気がする。
あえて云わなかったのは彼なりの優しさだったのだろうか。
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煉華☆(プロフ) - 狼楼さん» 了解です、合っていて良かったです(*^^*)承認しておきますね。最新パートまで読んでいただきありがとうございます!過去編共々頑張っていきます! (2019年6月15日 17時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
狼楼(プロフ) - 煉華☆さん» 最新パートまで読ませていただきました!これからの有島ちゃんが楽しみです! (2019年6月15日 15時) (レス) id: 8b97f6f5d3 (このIDを非表示/違反報告)
狼楼(プロフ) - 煉華☆さん» 狼楼に直しときました…汗 (2019年6月15日 15時) (レス) id: 8b97f6f5d3 (このIDを非表示/違反報告)
狼楼(プロフ) - 煉華☆さん» あ!あってます!直すの忘れてた…汗 (2019年6月15日 15時) (レス) id: 8b97f6f5d3 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 狼楼さん» すみません、今「炎化狼」という名前の方の申請をもらっていたのですが、狼楼さんでしょうか?名前に狼とついていたので質問させていただきました。 (2019年6月15日 14時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉華 | 作成日時:2018年3月6日 7時