あんさんぶるスターズ短編集 (ページ3)

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葵ゆうた二人で一つページ3

ゆうたside(過去捏造

｢二人で一つ｣

小さい頃から、アニキと俺は二人で一つ。二人いるから一人が存在できる。そんな感じ。

けど、親にまで見分けられなくなった時、流石に凹んだ。

周りからも、似すぎて気持ち悪いとか、どっちか一人でいいのにとか、言われてきた。顔を変える、なんてそんなこと出来ないし、どうしようか悩んだ挙げ句、ヘアピンの色で見分けるという方法をとった。けど、裏を返すとヘアピンを取れば誰も見分けてくれなかったのだ。

高校生になっても、アイドルになっても、それは変わらないと思ってた。

『プロデューサーさん』に会うまでは。

最初の方…ほんの一週間だけ迷う期間はあったんだけど、それからは、ヘアピンをとっても入れ
替わりをしてもだまされてはくれなかった。

何故判るのか聞いても、｢ひなた君はひなた君でゆうた君はゆうた君だから｣と、わかりやすくもわかりにくい理由を聞かされただけだった。

けどそれが、たまらなく嬉しかった。

だって、親でさえ俺を『葵ゆうた』として見てくれなかったのに、この人はいとも簡単にそれをしてくれたのだ。

アニキの片割れ、としてでなくて俺個人を見てくれたんだ。

感謝、していたんだ。

けどそれは、いつの間にか別の感情に変わっていた。

俺個人を見てくれる人なんて随分久しぶりだから、そう思うんだ…って、誤魔化してはいたけど、やっぱり俺はAさんが好きらしい。

アニキや朔間さんなんかと話しているのを見ると喉の奥がきゅっとなって、胸が痛くなる。

俺を見抜いたAさんは、この気持ちも見抜いてしまうんだろうか。

いや、Aさんは自分が恋愛対象になるなんてまるで考えてないからなぁ…

気付いて欲しいような、欲しくないような。

そんなゆらゆら揺れるこの思いは、きっといつか、届けてみせる。

だから、覚悟しててね、Aさん。