青葉城西高校排球部のメンバーはモブインの日記を拾ったようです。

信頼/3 ページ22

｢最初の内はさ、また信じてくれるって、思ってた。信じてたよ、これでも。…けど、半年の間、気付くどころか私は虐げられ続けて。その半年は、あんた達への信頼を失うには、充分すぎる間だったの。｣

できるならもう一度、もう一度と何度願っただろうか。けれどそんな淡すぎる希望は、もう見えなくなっていた。

｢ねえ、国見。信じてくれて、ありがとう。及川、岩泉、花巻、松川。真実を知って、現実から逃げずに私に向き合ってくれてありがとう。｣

美帆ちゃんだって、1年生だ。まだ時間はある。私がいなくても、仕事なんてすぐに覚えられる。どのみち私は、もうすぐ引退だった。

｢私は、もう戻らないよ。それじゃ、春高も頑張ってね｣

重たい体育館の扉を開き、出て行こうとしたとき。誰かに抱きしめられて、頭を撫でられた。

それは、私がずっとされたかったこと。私がずっと望んでいたこと。

｢おい、かわ…｣

｢…今まで、ほんとにありがとう。それで、ごめんね。よく、頑張ってくれた。耐えてくれた。｣

優しい声色で、ゆっくりと頭をなでられる。ああ、そんなことしないで。氷った心が、とけていく。

｢っうぇっ、ふっ、ああ、あああっ…｣

熱い涙が、頬を伝う。美帆ちゃんに比べたら、全然綺麗な泣き方じゃないけれど。そんな涙を、今回は受け止めてくれる人がいた。

｢またっ、戻りたかった…、しっ、みんな、でっ、笑いたかったぁっ…｣

止まらない涙と共に、本音がこぼれ落ちる。もちろん私は、部活には戻らない。そう決めたから。

｢今まで、お疲れさま…本当に、本当にありがとう。｣

肩には一粒、及川の涙が落ちた。

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