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松川side
部活の後半も終わる頃、マネージャー志望として来たオンナノコの数が半分まで減っていた。Aは悩ましそうに名簿を見つめ、苦笑いしている。
(どんぐりのせいくらべ)
見たところ有能そうなコはいないし、どうせ入れないんだろうと決め付ける。
「松〜?お前やっぱ今日変だよな」
「花はいつも変だろ」
「まぁな」
軽口を叩きながらスパイク練の列に並ぶ。いつもより列が多いからスムーズに進むが、1年の実力差は結構あった。
「今年はかわいいコいんのかな」
「花好みのはいないんでない?」
「松の好みは?」
んー、と唸りながら1年女子とAがいる方を見る。
Aが目線を上げたタイミングで俺と目が合い、それに気付くとガッツポーズをして見せた。表情が緩む。
「いたわ」
「マジ?!」
ウソ、と笑って答えれば花は「焦った〜」と頭を抱えながら天井を見上げた。
きっとAはこの面白い光景を見ていない。ガッツポーズをしたあと、俺の顔を少し見てすぐにバインダーへ視線を落としていた。
誰よりも選手思いな、立派なマネージャー。
青城バレー部の全員が口を揃えてそう言う。今は来てないけど、京谷も確か懐いていた。
そんなAが俺らを、後輩を支えるマネージャーの後釜を探して2年目。下の代が可哀想だと嘆きそうだが、いい加減な奴が入るくらいならいらないとあの優しい渡でさえ言っている。
「今日の練習はここまでー!2・3年は自主練で残ってもいいけど、1年は早く帰りなさーい!」
ふざけた調子で及川が叫ぶ。それぞれストレッチをし、次々に1年が帰っていく。
「ありがとうございました」
「ハイ、おつかれ」
挨拶をして帰っていく1年に応えながらAの背後に立つ。
「おつかれ、松川」
「Aもお疲れさん」
すぐ俺に気が付き、身体を俺に向けた。
「スパイク練、松川エグかったな」
「センパイの凄さを見せただけ」
「相変わらず性格悪いブロックするよな」
ふと思い付き口走る。
「Aは俺のことよく見てるのな」
一瞬で目が赤くなり、潤む。
どの感情でそうなっているのかがわからずお互い無言になる。
「Aちゃーん!良さそうな子はいたー?」
及川に話し掛けられそちらに行ったAは心底救われたというような顔だった。
「松」
静かに俺を呼んだ花に向き直る。
「何?」
「あんまそういう事言ってやんなよ」
「ただふざけただけだろ」
「今のはダメだろ」
いつになく真剣な花に合点がついた。
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シャバ僧(プロフ) - 優愛さん» ご要望ありがとうございます!負けず嫌いな男主なので、まだ未定ですが、一応別で男主受け松川夢ございます……よろしければ、どうぞ(宣伝) (2022年12月8日 23時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
優愛(プロフ) - 主人公は受けがいい!! (2022年12月8日 21時) (レス) @page35 id: 5e22586db0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年6月14日 0時