my self . Ⅰ【ドラコ・マルフォイ】 (ページ29)

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「彼の名を口にするとは勇気がある…それとも愚かなのか」

ルシウスさんが目を細めてそう言うと、ロンの父と思われる人がやってくる。

「なかはもう大騒ぎだ、外に出てよう」

その様子を見ると、おやおやと身体をそちらに向けた。

「ウィーズリーじゃないか…お役所は忙しいらしいですね。抜き打ち調査付きで残業代は出るでしょうな？この様子ではそうでは無いらしいね」

二人の間を流れるいかにも険悪な雰囲気に思わず後ずさりをする。

まだ人で賑わう書店の奥を少し覗くと、ハーマイオニーの影が見えた。彼女に手を振ろうと手を動かすと、ドラコに手を掴まれる。

「魔法使いの面汚しの仕事をしていると言うのにろくに給料も貰えないのではねぇ」

「なにが魔法使いの面汚しかについては我々の意見はだいぶ違うようだな」

そう言い合う2人を前にして私はドラコに掴まれたままの手を解くために、なに？と彼に小声で聞く。
するとドラコは横目で私を見た後に今度は自分の背後に私を隠した。

「作用ですな。…''マグル''と付き合っているようでは」

目の前は何も見えないが、ルシウスさんがそう言ったのを私はハッキリと聞いたので私は視線を下に落とす。

「役所でまたいずれ」

一方的な別れと共に、ルシウスさんの後を追うためドラコは私の手を引いて店を出た。

しばらく教科書などを買いながら歩いていると、ルシウスさんが急用があるらしくしばらく席を外すらしいので2人でクィディッチ用具店へ向かう。

「僕が止めたのを感謝した方がいい。…グレンジャーと君が仲を良くしていることを父上が知ったら」

ドラコはそこまで言うと口をつぐんだ。私はその続きを待っていたが出てこないので諦めた。
ハーマイオニーは友達で、私の親友でもあるから正直なところ傷ついたがその気持ちを引っ込めて素直にありがとう、といった。

「A、見ろ！ニンバス2001だ」

クィディッチ用具店でクィディッチの歴史を見ていた私はその言葉と共にドラコに首の根っこを捕まれ引っ張り出される。

『かっこいい…』

私達が目を輝かせて見るのは、黒いボディに黒い毛のニンバス2001。綺麗に整えられた毛先をみて思わずうっとりする。

「今年、これを父上に買って貰ってクィディッチ選抜試験を受けるんだ」

誇らしそうに言うドラコを見てきっと受かるわ、と言う。するとドラコがこちらを向いた。

「Aも受けるだろう？」

片眉を上げて聞くドラコにもちろんと返すと彼は表情を明るくした。

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