序章 ページ1
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───ポトリと大きな花が静かに落ちた。
赤と白の花々が石畳を彩って、太陽の光を色鮮やかに吸収している。
私はただ見ていただけなのに、それらは勝手に落ちてきて私にその美しさを魅せつけてくるのだ
1番美しい時に落っこちる儚いそれをやはり美しいと思うし、綺麗だと思う
私は膝をおり、腰を下ろしてそれを拾い上げた。
これはなんという花だったか
この花はどうしたらもっと生きていてくれるだろうか
お水をやれば長く咲いていてくれるだろうか…
「やっぱりこの色が好きだ」
私の両手いっぱいに広がっている花
他の色のも拾いたいけど、私のこの手ではもう拾い上げることは出来ない
きっと無理やりに拾ってしまったら、全てが潰れてダメになってしまうだろうから
「女、早くこちらに来い」
「はい…今すぐ」
この庭を美しいと思ってもいないだろうこの男も、きっと誰かから見たら大切な人なんだろう
病を心配してくれる家族がいて、死を嘆いてくれる友がいることだろう
私にもそんな人はいるのだろうか……。
「牡丹が気に入ったのか?」
「はい、とても綺麗ですね」
あぁ、そうだ
この花は牡丹と言うんだった
名の知れたそれを私はまた地面に落とした。
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鈴凛(プロフ) - さ凄く好きです!! なんなんですか、文才ありすぎでしょう。 更新頑張ってください! 楽しみに待っています! (2021年1月4日 0時) (レス) id: 7339462afc (このIDを非表示/違反報告)
もろこ - もう好きという感想しか出てこなくなってしまいました好きです............更新めちゃんこ楽しみに待ってます!!!!! (2021年1月2日 3時) (レス) id: 132f83efa1 (このIDを非表示/違反報告)
優鈴(プロフ) - パールさん» いえいえ、!間違いは誰にでもあるのでだいじょぶですよ〜!(о´∀`о) (2020年12月31日 1時) (レス) id: 947ace3b30 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 優鈴さん» ありがとうございます(泣)。早急に直させていただきました! (2020年12月31日 1時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
優鈴(プロフ) - 順番がぁ……!20、23、22になっちゃってますよ、! (2020年12月31日 1時) (レス) id: 947ace3b30 (このIDを非表示/違反報告)
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