【第五人格】納棺師くんと占い師くん(続) (ページ11)

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交わることのない想いページ11

AM3:56

また今日も嫌な夢を見た。

…気分が良いとはとても言えないな。

窓を開けると、少し冷たい風が頬を撫でた。

外はまだ真っ暗だ。もう夏も終わりか。

目覚めたばかりの頭はまだぼんやりとしていて、バラバラな言葉を紡いでは消えた。

もう一度ベッドに戻ってしまおうか、そんな考えとは裏腹に意識がハッキリしてくる。

…少し寒いな。近くのカーディガンを羽織り、食堂へと歩を進める。

身体がだるい。ここ連日悪夢を見ては目が覚め、その後眠れないという事が続いたためかだるくて眠くてたまらない。

でも、寝れば悪夢を見てしまう。

最近では眠るのが酷く恐ろしい事のように感じる。前まではできていた普通。それが今では恐怖だと？…笑わせてくれる。

食堂へ行き、先程作ったココアを飲みながら夜の闇を彩るいくつもの星を数える。

きっと何年経っても数えきれないだろう。

食堂の窓という限られた枠の中で月を確認することはもう出来なかった。

残ったココアを飲み干す。

前に一度、イソップくんとココアを片手に星を数えた日があった。

その日も今日みたいに雲ひとつない夜空だった。星が綺麗でその日は時間も今ほど遅くなかったから月も出ていた…共存していた。

あの日はいろんなことを語り合ったね。

イソップくんの知らない一面も知ることが出来た。なにより、あの笑顔。満天の星のようにキラキラと輝いていた。

イソップくん、君はきっとこの想いを知らないだろうね。でも、それでいいんだよ。

君は私の気持ちを知ってはいけない。
私も君の気持ちを知らないでおくよ。

…私達は結ばれるべきではない。

月と星はどちらも夜を彩るが、時間が経てば遠く離れてしまう。

これから先も、きっと私達の想いが重なることは無いだろう。

今の月と星のように、永遠に。