【あんスタ】プロデューサーは転入生！IV (ページ8)

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転入生の開放ページ8

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　階段を上がって、進んで、降りて、暫く歩いて、着いた先。

「――やっぱり、か」

　先程の瀬名のように、指先で鍵を回しながら、私は深々と溜め息を吐く。

　ああ、もう。
　どうしてこうも、当たって欲しくない予感というものに限って、バッチリ当たってしまうのだろうか。

「そもそも、おかしいとは思ってたのよねぇ」

　先程、瀬名が持っていた練習室の鍵。
　この学院では、練習室の種類ごとにそれぞれ違う色のタグが付いていて、タグを見れば部屋の種類が分かるようになっている。

　緑のタグは『防音練習室』の鍵だ。

　まぁ、瀬名は真面目な生徒だし、彼の所属する『Knights』は、この学院で1、2を争う古豪ユニットだ。防音練習室を借りれるぐらいの校内通貨を持っていたって、何もおかしくはない。

　けれど。
　その情報に、別の情報(・・・・)を合わせると――話はまた変わってくる。

「『Trickstar』のメンバーは、別の有力ユニットへの移籍を命じられてたわね。
　『流星隊』、『fine』、『紅月』……そして『Knights』。その4つのユニットに。
　なのに――『Knights』のプロデュースには、いつも、そのメンバーだけが居なかった(・・・・・・・・・・・・・・)。しかも、それを誰も話題にすらしない。
　いくら『Knights』が個人主義の集まりだからって、限度があるでしょう？
　特に、『Knights』を〝個人の集まり〟から、〝同じ大義を掲げる集団〟にしたがっている朱桜くんですら、新入り(・・・)を気にかけていないだなんて……流石に不自然過ぎる」

　天祥院からは、その子の移籍の書類こそ貰ってはいないが、どうやら彼(・)の管理下にあるらしい……という話は聞いていた。
　だからレッスンにも来るだろうと思っていたのに、待てど暮らせど来やしない。

　つまり。
　書類上だけでなく、当人の気持ち的にも――その子は、自分が『Knights』だなんてサラサラ思っておらず。
　それ故に、他のメンバーにもまだ認められていない、ということだ。

　だから彼(・)の不興を買って……その結果、こうして閉じ込められてしまった(・・・・・・・・・・・)のだろう。
　可哀想に。

「災難だったわね。――遊木真くん」

　マスターキーで開け放った防音練習室の中。

　膝を抱えて座り込んだまま、呆然とこちらを見上げている青いメガネの少年に、私は屈んで手を差し伸べた。

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