転入生とヒーロー勢力 ページ45
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何やかんやで『Knights』のプロデュースは終わり、次のユニットへ。
流石と言うか何と言うか、『Knights』は全体的にレベルが高かった。
新人な朱桜くんはまだ不安定だったけど、あれは場数重ねれば安定するだろう。
高音域が出し辛いんです……、と落ち込んでいる姿に、思わず母性本能ならぬ、姉性本能？ を刺激されてしまい、こっそり発声法をアドバイスしてあげたのだけど……それですぐにクリアー出来たみたいで、凄く目を輝かせながら感謝された。
ぶっちゃけ兄貴の受け売りだったんだけど、喜んで貰えたなら何よりだ。
「失礼しま〜す」
レッスン室をノックして、そのまま開ける。返事は待たない。今度は別に顔色伺わなくてもいい相手だからね。
「おっ、不陶！ 来てくれたんだな、どうも有り難うっ☆」
「押忍！ 転入生の姉御、お待ちしてたっス！」
「えっ、転入生って……もしかして、3年にいるっていうプロデューサーの……？」
「なんと！ あの人が、ウワサの『転入生』殿で御座るか……！」
迎えてくれたのは、豪快に笑って手を振る守沢に、礼儀正しく頭を下げて挨拶する南雲くん、そして驚いたような顔でこちらに振り向く、残りの1年生の2人。
『Knights』と同等の歴史を誇る古豪ユニット――『流星隊』のメンバーだ。
それと、
「不陶先輩！？」
「えっ、不陶パイセン……？」
赤と青のチェック柄が継ぎ接ぎになった衣装を着たあんずちゃんと、その隣で目を見開いている少年。
「こんにちは。――覚悟は決まったかしら？ 『主人公』くん」
『Trickstar』、明星スバル。
紛うことなき、この『革命』の主人公と言える少年が、私の目の前に立っていた。
「……パイセン、いっつもそう言うよね。俺のこと、主人公だって」
戸惑ったように瞳を揺らしながら、明星くんが呟く。
その表情は、困惑こそあるが、躊躇いや恐怖といったものは見当たらない。どうやら、ちゃんと覚悟は決まったらしい。
良かった。
もし彼が折れてしまったら――代わりの『主軸』を今から見つけ出すのは、なかなかに骨だからね。
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作者名：姫結 | 作成日時：2018年8月28日 13時
