幕間＊学院最強とズレた幼馴染み ページ36
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―――― Side_鬼龍紅郎
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静寂の中央で、んん？ と首を傾げている、俺の幼馴染み――不陶A。
その様子に、思わず溜め息が漏れた。
「……不陶……、お前、そろそろ気付けよ」
「え？ え？ 何？ 何のこと、クロくん？」
「うん、だから、そ〜いうトコな」
「えっ？ ミトンまで何言ってんの？？」
「だからミトンって言うんじゃねえよ……！！」
睨み付ける譲羽と俺とを見上げて、心底不思議そうに小首を傾げるA。
上目遣いが小動物みたいで可愛らしいが、こういう時は扱いにちょっと困る。
……コイツ、周りとズレてるっつ〜か、自分の『才能』に全く自覚が無いみたいからな〜……。
Aは昔、とても大人しい子供だった。
内気で臆病で、他の子供達の輪になかなか入れないし、入ってもそこまで楽しめない。
だから、放課後はいつも家で遊んでいた。たまに俺に連れられて外に行く事もあったけど、それ以外はずっと家だ。
特に、兄や従妹と一緒に、ああでもないこうでもないと、言葉を並べて『架空の歌』を作りだすのが、Aの1番好きな遊びだった。
今思うと、あれは母親の影響だったんだろうな。TVに映る母親を、アイツはいつも嬉しそうに目を輝かせながら見ていたから。
で、そんな無害で可愛らしい『お遊び』の中、Aは持ち前の『才能』をメキメキと開花させていったのだ。
それが、今この場でやってのけていたような――『作詞』と『歌』の才能。
なかでも、1番得意なのは、今のような�狢╋臭瓩任虜郢譴蕕靴い�……。
「つ〜か、何で今更驚かれてんの？
『流星隊』とか『Knights』とか、アンタ達が使ってる曲の歌詞、多分、ほぼ
と、小首を傾げつつサラッと言ってのけるもんだから、周りが思いきりザワついた。
そう、これがAの1番タチの悪い所なのだが……Aは、自分が『他人とは違う』とすら思ってない。
自分は『凡人』。
だから、
……恐ろしい事に、ずっと心からそう信じ込んで疑っていないのだ、この『天才』は。
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作者名：姫結 | 作成日時：2018年8月28日 13時
