転入生のテスト・6 ページ34
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音楽が終わった。
緊張と集中から解放され、大きく息を吐いて首と肩を回す。
あ〜、歌った歌った〜……。
疲れたけど、充足感みたいなのもあるので、程々に心地よい感じの疲れ方をしている。
そう言えば、こんなに大勢の人の前で歌ったの、流石に久し振りだなぁ。
アガってつっかえたりとかしなくて良かった……。そんなヘマしようもんなら、後で鬼龍と斎宮くんに死ぬほど弄られて死ぬほどお小言食らってしまう……。
まぁそれもこれも、在りし日のお母さんの教えの賜物だから、やっぱうちのお母さん偉大だわ〜。今度美味しい『お供え』でも持ってってあげよっと。
……って言うか。
「あの〜……。
誰か、そろそろ何か言って欲しいんですけど……？」
歌い終わってから今まで、ほとんど誰も言葉を発さないどころか、身じろぎすらしてないんですが……。
今この場で動いているのは、
「――トレビアン！ 流石だね、Aちゃん！
君の歌声と詞は、今も変わらず繊細で美しい……！
ああ、何度聴いても聴き飽きないね、惚れ惚れするほど素晴らしいのだよ……♪」
感極まったのか、両手で私の手を握りながら、うっとりとした顔で感想を伝えてくれる斎宮くんと、
「久し振りに聞いたけど、相変わらず凄まじいよな、お前の歌……。自信無くしちまいそうだぜ、色々と」
そんな斎宮くんと私を見ながら、腕を組んで苦笑している鬼龍と、
「うんうん、良かったぞ〜、A！ よく頑張った！
やっぱりお前、歌に関しちゃそこらの量産品とは出来が違うなぁ！ 私も鼻が高いぞ……☆」
私の背を遠慮なくバシバシ叩いて呵呵大笑する『彼』と、
「…………」
何故か無言かつ半目で私の脇腹を抓ってくるミトン……もとい譲羽。
――とまぁ、見事に私の旧知ばっかりが、周囲で反応を返してくれていた。
つ〜か後半2人、痛ぇよ。叩くのも抓るのも止めてくれ。
ミトンに至っては無言だから、真意が読めなくて怖い。なんか喋れよ、お前……！
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作者名：姫結 | 作成日時：2018年8月28日 13時
