転入生の授業・2 ページ25
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「よっす天祥院。調子どう？ 大丈夫？」
「ふふ、お陰様でね。色々あったせいで、何度か心臓止まるかと思ったけど」
「そ。実際に止まってないなら大丈夫ね。その調子で気張りなさい」
「相変わらず無駄に上から目線だね、君は……」
「はン。アイドルに媚びへつらうプロデューサーなんて、どいつもこいつもクソ以下よ。そんなのと一緒くたにされるのは心外だわ」
「さすが不陶くん、切れ味が良いね。……やっぱり、君を呼んだのは正解だったよ」
楽しそうに目を細める天祥院。
いや〜、にしてもコイツ、相変わらず演技力すっげえな〜。昨日ステージ上で目が合った時なんか、それこそ射殺さんばかりの目つきしてたクセにね？
「正解……？ よくも言うものだねっ、天祥院！ 散々この子を利用し尽くした挙句、『魔女』の烙印を押して捨てた『暴君』が！」
「――宗くん」
と、私の後ろから、身を乗り出してそう吐き捨てた幼馴染みを、手で制止する。集まった皆が戸惑ったようにこちらの様子を伺っている中、私は冷静に、
「良いわよ、別に。『魔女』云々については、コイツに手ぇ貸すよりも前から言われてた事だし……利用し尽くしたのはお互い様だもの」
「しかし、不陶……」
「うっさい。良いったら良いの。分かった？」
睨み上げると、斎宮くんはそれでもなお何か言いたげに口をモゴモゴとさせてから、悔しげな顔で横を向いた。うむ、よろしい。偉いので頭を撫でて褒めて進ぜる。
それを見ていた天祥院が、何か言おうとしたのか口を開きかけて、
「――おうおう、どうした貴様ら！ こんな朝から喧嘩とは元気だな……！」
入口から聞こえた、聞き覚えのある騒々しい声に掻き消された。
思わずそちらに視線を向けると、
「おはようA！ 今日も生きてるか！？」
「見れば分かるでしょ……。朝から騒がないでよ、うっさいなぁ」
想像通り、満面の笑みでズカズカと近付いてきた白衣姿の『彼』を見て、溜め息を吐く。朝から元気なのはどっちだよ。
「一哉さん……。貴方はいつ見ても無意味に元気だね、鬱陶しくていっそ感心するのだよ」
「おはよう宗！ お前も相変わらず切れ味が良いな、ちょっと悲しいぞ！ まぁ紅郎よりはマシだけどな！」
遠慮なくバシバシと肩や背中を叩く『彼』の手を、本気で鬱陶しそうに払いのける斎宮くん。
邪険にしつつ『さん付け』な辺り、礼儀正しい斎宮くんらしいとは思うけど、そんなだから付け込まれるんだよ、君……。
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作者名：姫結 | 作成日時：2018年8月28日 13時
