【アバンティーズ】それでも、君が好きだから。 (ページ6)

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『可愛かったね』

帰り道、そらがぽつりと言った。

『何が？』

『Aちゃん』

内心、やっぱり、と思った。
やっぱり、彼女は“そら好み”だと思った。

暗めの色の髪をゆるく巻いていて、派手すぎない化粧(ナチュラルメイクってやつ？)で。

服もピンクとか白とかの女の子らしい感じで、笑顔を絶やさない彼女は確かに可愛かった。

……“外側”はね。

『“でも、それがうさんくさい”』

『“え……？”』

そう言ったとき彼女は、面食らった感じで固まった。
それが決定打になった。

取り繕っていた“可愛さ”も、完璧ではなかったということだ。

『あー、そうだね』

俺は適当に返事をする。

彼女がうさんくさくても、まあ、そらが良いなら良い。
こいつは気づいていないようだし。

『LINE交換すれば良かった』

なんて言うそら。
その一言に、気がついた。

やけにポケットが軽いと思ったら、スマホがない。

たぶん、あいつの家に忘れてきた。
というよりかは寝転んでいる間にポケットから落ちたのだろう。

今から取りに戻るか。いや、面倒くさいな。

驚いたことに俺らの家と彼女の家は、徒歩15分くらいと、案外近い。

明日にでも取りに行けばいいか。

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