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sideT. 27-5 ページ30

*



口から出る溜息は自分の情けなさへの溜息。

見せ付けられる真っ直ぐさに眩暈すら感じる。
思った事を素直に口に出せる凄さを痛感させられる。

抱いてる気持ちの半分すらも表に出せない俺からすれば、その殆どを出してくる"佑亮"って奴が疎ましくも羨ましくも思える。


「……Aとは付き合ってる」


だから俺が口にするのは完全な敗北の言葉で、


「それは本気で、」

「振りしてる」


でもこれは素直じゃない俺なりの誠意。

言葉を遮った俺を、きょとんとした顔で見据える"佑亮"は、どんな状況であろうともその視線を真っ直ぐ向けてくる。


「Aとヤった」

「え!?それって──…」

「と、思ってる」

「……思ってる?」

「でも実際はヤってない」

「へ?」

「あいつはAは酔ってて記憶がない。だから俺らがヤったと思ってる」

「……」

「その責任を取るって条件で付き合ってる振りしてる」

「……」

「終わり。満足?」


最後の言葉を言った時は、皮肉めいた笑いが浮かんでた。
そうしようと思った訳じゃないけど、無意識にそうなった。

"佑亮"に対してではなく、自分に対してのその笑いに虚しさが湧き上がってくる。


説明しながら思った事に嫌でも虚しくなってくる。


口に出してみると、俺とAの関係は何とも脆いと思ってしまった。

必死にAを繋ぎ止めてるこの環境は、いつ壊れてもおかしくないって関係。

むしろ今までこの関係を続けられた事が奇跡で、本当はAが既に「もういい」と言ってれば終わってた関係。


*

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時

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