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002 ページ10

ホメロスは平然と躊躇いもなく口にした。
そこに感情というものはなく、血の通わない冷淡な瞳がAを見下ろす。

「なんでそんな…おかしいじゃないですか…」

「おかしい、か。それはこの村が悪魔の子を育てたとしてもか?」

消えいりそうな声で反抗するAに、デルカダールで耳にした言葉が愕然と突き刺さった。
しかし、だからと言って村を破壊し、村人を処刑するなど受け入れるはずもなかった。

「そんなこと、納得できるわけ…」

「なるほど、そうゆうことでしたか」

丸い眼鏡を弄り、Aの声にシロエが重なった。

「シロエ殿は納得して頂けたようだ」

不安そうな蒼い瞳がシロエを見つめる。
シロエは、目を閉じて優しく笑った。

「いえ、貴方達に同調してなどいませんよ。僕が聞いていた話と随分喰違いがあるようだ」

「ほぉ、それはどんな内容でしょう。事の顛末によっては貴方も例外ではない。たとえ偉大な魔法使いでもね」

ホメロスは腰に携えていた剣をシロエに向ける。

「やめてください!」

「Aっ!」

両手を広げ、剣の先を自身で遮る。
シロエの制止も聞かぬまま、海よりも深い蒼の瞳がホメロスを静かに見つめた。
胸元にあった鋭い先がゆっくりとAの首筋へとあてがわれる。
それでもなお動く気配を見せない彼女に、ホメロスは肩で息を吐いた。

「…本当に、君だけはあの頃と変わらないな」

Aの喉元に切っ尖を向けたホメロスはどこか懐かしそうに呟いた。
何故、彼がそんなことを言ったのかわからなかった。安堵したようにも見えたホメロスの緩んだ瞳に、不思議に感じたAが問いかけようと声を発した時だ。

「これは…一体どういう事だ」

黒い鎧で着飾れた馬に乗ったグレイグは、事の惨事に驚いた表情を浮かべていた。

「ホメロス、いくらなんでもやり過ぎだ」

「ふん、貴様は相変わらずだな」

グレイグがホメロスを諌めている。
ホメロスは眉間に皺を寄せ、腕組みをしていた。
Aは、先程のホメロスの言葉が気になっていた。昔から自分を知っているような彼の態度と言動。しかし、自分の記憶を辿ってみても身に覚えがなく、より違和感が積もっていくだけだった。

「ねぇ、あなたもしかしてAちゃんよね」

考え込んでいたAに突然シロエ以外の人から自分の名前を呼ばれ、きょとんとした表情で振り返れば、金色の長い髪にオレンジのスカーフを身につけた少女がこちらを気にしていた。

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設定タグ:ドラクエ11 , ログホライズン , ホメロス   
作品ジャンル:ファンタジー
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作者名:マナ | 作成日時:2020年1月12日 20時

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